枝を伐って根を枯らす
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ところへどこからか

 ところへどこからか、
「それは花子さんが悪いのではない。私が悪いのです」
 と云うしわがれた声が聞えました。驚いて姉さんと花子さんとが顔を挙げてそちらを見ますと、それは恐ろしい、真黒い、骸骨のような木乃伊でした。
 木乃伊は赤と青の美しい着物を引きずって、恐ろしさにふるえている姉さんと花子さんの傍へしずしずと近寄りながら、白い歯を出してニッコリ笑いました。
「御心配なさいますな。私が姉さんの頬の凹んだ処はきっと直して上げます」
 と云ううちに二人を抱き上げて、赤と青の着物をパッと広げると、そのまま大空はるかに舞い上りました。
 二人は夢のようになって抱かれて行きますと、木乃伊の青と赤の着物は雲の中をひるがえりひるがえり、お太陽様も星も月もはるか足の下にして飛んで行きます。やがて下の方に三角の塔や椰子の樹や大きな川や繁華な都が見えて来ました。木乃伊はそれを指して、
「あれが私の故郷のエジプトの都です。三角の塔はピラミッドで、川はナイル河という河です」
 と云う中に、都の中で一番大きな建て物の窓から中へ降りて行きました。その時気が付きますと、木乃伊はいつの間にか当り前の人間の、しかも立派な王様の姿にかわっておりました。 ヒイラ、フウラ、ミイラよ - 枝を伐って根を枯らす - mindia(マインディア)

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