高田のあたりまえノート単語集
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健康の履歴

健康の定義というのは、よく考えると非常に難しい。

対義語である「病気の状態」は、それに比べると明瞭であるために、伝統的には健康とは「病気でない状態」と定義されてきた。

WHOの定義

健康とは、「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気や障害がないというだけではない」とした。これは、理想主義的な定義であり、当初は画期的だったと思う。しかし、この定義は、時代に合わないものになりつつある。

1948年のWHOの定義では、「完全な健康」は、そもそも定義できない。また、「完全な健康」を定義することは、私たちが、そもそも人生の大部分を健康に生きていないと判定することを意味する。

「新しいスクリーニング検査技術は病気の原因にはなりそうもないレベルの異常値を異常と指摘し始めるし、製薬会社は以前は健康問題とは見られなかった状態に使うような薬を作り始める。そのため治療開始の閾値はどんどん下がり治療を受ける人は膨れ上がる。例えば血圧、脂肪値、血糖値についてだ。完全な健康状態ばかりがイメージとして宣伝され続けられると、たった一人の人だけに有効なようなスクリーニング検査や、高価な治療を望む人々をたくさん作ってしまう。それは医療への依存と深め、医療行為に潜む危険をより高度にするにしかならない。」
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/136407/85349/73439003?pag...
こういう状況の中で、WHOの定義は、一般市民が身体的、精神的、社会的なあらゆる問題について、医療に依存させる方向に寄与している、あるいは、すくなくとも、この過剰になりつつある医療依存の傾向をせき止める方向には働かない。

1948年当時は、死因の大部分は急性疾患だったが、今日、途上国も含めて、死因の大部分は、慢性疾患(糖尿病、高血圧などや、それに起因する合併症)となっている。それらを抱えている人は、ごく普通になっている。

また、今日の社会は、多くの障害者が共生して生きている社会でもある。

健康の定義に「障害や疾患がない」ことを含むことは、これらの人を不健康とみなすことになる。

新しい定義

そこで、今日的な健康の定義として、Machteld Huberらは、健康の定義を、「社会的、身体的、感情的困難に直面した時に発揮される適応・変化(adapt)と自己管理の能力」があること、と再定義している。

もっと別の言い方をすると、健康とは「適応し変化しする能力および自己管理の能力」である。

この定義は、非常にわかりやすい。

ぼくの定義

もっと再帰的な表現として、
健康とは、自身や他人の健康のために自己管理する能力である。
とか、
健康とは健康を愛することである。
といってもいいかもしれない。