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∀ガンダムの世界観の履歴

∀ガンダム(ターンエーガンダム)は、富野由悠季の監督したガンダム関連作品の中でも、非常に特異な世界観と哲学を持つ作品である。

時代背景

かつて、増えすぎた人口問題を解決するため、スペースコロニーを建設し、人類が宇宙に移民をはじめ、その後、宇宙移民たちと地球政府のあいだの戦争がおきた。

それから、長い時間がたって、地球に残った人類は、おそらく、度重なる大量破壊兵器による戦争や環境問題のためであろう。地球での科学技術や経済の発展は停滞し、やがて、宇宙開発の技術をはじめとする高度な科学技術は放棄された。

地球の人々は、かつて科学の力で人類が宇宙に進出した時代があったことを忘れ、農業と、初歩的な製造業のみによる、牧歌的で、半ば封建的な社会を建設しその社会の中で穏やかな生活をするようになった。

その社会に住む人々は、永遠に今と同じような生活、半封建的社会秩序が続くと信じており、人々の心のなかからは経済や科学技術が発展するという「近代的」歴史感覚は失われている。

一方、宇宙に進出した人々は、おそらくこれも戦争と資源の慢性的な不足のためであろう、経済や社会の変化は停滞するようになった。科学技術は保たれているものの、それらは、「言い伝え」のようになり、もはや、発展することはなさそうである。

宇宙移民は多くのスペースコロニーを放棄し、その多くは月面都市に居住している。

物語の始まり

月面都市には、女王、ディアナ・ソレルが君臨していた。彼女は月に人類が移民を始めた頃からの指導者であり、冷凍冬眠を繰り返すことで、その長寿を維持している。月の女王と住民達は、地球に戻って牧歌的で穏やかな生活をすることを望んでおり、彼女たちがかつて地球で住んでいた土地、北アメリカ南部の土地への移住を望んでいる(このあたりの作中の描写はかつてのシオニズム、イスラエル建国運動を連想させる)。

月の女王は、先遣隊として、数名の少年少女を地球に送り、地球の社会で生活させることとした。本作の主人公は、この先遣隊のひとりである。
また、月の女王は、北アメリカにある成立している小さな国家群に対して、自分たちが望む土地の返還を求めるため、小規模な軍隊を含む外交使節を派遣した。

しかし、月住民と地球住民の交渉は進まず、派遣された軍隊は地球の住民の過剰な反応を生んでしまう。

兵器類

この作品では、他のガンダムと異なり、モビルスーツなどの兵器は作中で設計、生産されるものではない。兵器類は、ほとんどが、地中から掘り出された遺跡の一部であったり、古い時代から引き継がれた技術であったりで、作中でも、どのような原理で動作するのかすらはっきり分からない兵器が多数登場する。

特徴

他の「ガンダム」よりもはるか未来を舞台にした作品であるが、どの「ガンダム」の後日譚なのか、ワザと曖昧になるように作られている。

今作品の監督の富野氏は自身が監督から降りたあとも続編や関連作品が作られ続ける「ガンダム」に嫌気が指していたと言われるが、それらの作品すべての続編になりうる作品を作ることで、自分の作ったガンダム世界全体の結末をつけたとも言える。

他のガンダムでは、人類のへの移民がひとつのテーマであるのに対し、この作品では、人類の宇宙からの帰還がテーマである。

また、ほかのガンダムでは、ワガママな少年が主人公であり、世界全体の命運を担うことになることが多い。それに対し、この作品では、主人公は少年ではあるものの大人びた人物であり、また、世界の全体に影響を与えるのは、少年でなく、高齢の女性の郷土への思いであるなど、他のガンダムの物語の構造を意図的に逆にした様に見える部分が散見される。