中世的未来の履歴
比較的近い将来の社会が中世の社会と似通ってくるのではないかと考える論者は珍しくない。
そのようになる理由は、経済成長の停滞、資源の不足、情報化のさらなる進展など、様々。
未来が「中世」の要になると考える論者
- 「新しい中世がやってきた -停滞の時代の生き方」山口泉
- 「新しい中世―相互依存深まる世界システム」田中明彦
そのもののタイトル。冷戦以後の世界の見方としては、一読の価値があると思う。
- 「知価革命 -工業社会が終わる知価社会が始まる-」堺屋太一
古い本だが、今読んでも大丈夫だと思う。著者は、経企庁長官になって、大分ミソを付けることになってしまったけれど。今後出現する「知恵の価値が高まる社会」の特徴を「マルチメディア中世」と表現する箇所がある。
- 「僕たちの洗脳社会」岡田斗司夫
これも古い本だが、今読んでも大丈夫だと思う。フリーでネット上で読むことも出来る。この著者は、現在、この本をリメイク中とのこと。
どのような社会か
将来の社会が、どのような点で中世に似ていると考えるかは、論者によって若干異なるが、概ね、以下のような点が「中世的」とみなされているようである。
国際社会について
- 国家の機能が低下し、国際社会を構成する主体が多様になること
- 多様な主体の相互依存が強くなるため、それぞれの主体の意思決定が制限されるようになること。
- 特に、国家の中で、政府の機能と意思決定の権限が低下すること
- イデオロギー対立がなくなり、多くの主体の間で、望ましい社会体制に関する意見がある程度共通されること。
人々の関心について
- 物質的な生活を豊かにすることへの関心が低下し、経済が停滞すること。
- 代わって、自分の悩みを解消してくれるアイデアや考え方を求めて、消費活動が行われること。
経済活動
- 起業に必要な資本が少なくなり、代わって、知識や人望が必要とされるようになる。
どういう理由で社会が変化するか
上記のような社会が生まれる理由として、以下のようなものが挙げられることが多いようである。
- 社会の相互依存の進展
- 資源の有限感
- 情報技術の発達