写真家の履歴
カメラマンやフォトグラファーはこれまで蓄積されてきた照明技術や撮影技法に則って、商業写真や報道写真を撮る職業を指すことが多い。
それに対して写真家とは写真メディアの新たな可能性を開拓や、社会批判、特定の事象にこだわった視点などを通して視聴者に気付きや発見を与えるアートの役割を持つ写真メディアを自由な表現で訴える人を指すことが多い。
よく比較される絵画や映像アートとの比較
絵画アートが情緒や抽象を得意とすることに比べ、写真は現実の瞬間(時間)を基に撮られたものであるという点で、画像の持つ意味合いが違う。
映像メディアや映画は、特定の具体的事象を記録的に構成して製作することに比べ、写真は「その瞬間にわざわざシャッターを押す」という点で事象だけでなく価値観や概念などに関する視点の提供ができるという特性がある。
もちろんデジタル加工された写真や絵画と融合した写真表現の価値・意味付けも認められており、絵画や映画と相反するというものではない。
東西写真文化の違い
日本は有名カメラメーカーが世界で一番多いにも関わらず、写真文化が他国と比べて遅れているとされている。欧米諸国では、歴史的に気分や季節によって壁に飾る絵画の掛け替えを楽しむ習慣があり、元来生活に芸術が根ざしたものであったため、写真もその延長として多くの写真家の作品が高額で売れやすい。
それに比べて日本では有名写真家ですら、写真や写真集販売だけで生計をたてることは難しいほど、市民の需要や理解力が低い問題がある。
さらに中国や、その他後進国や中進国と言われる多くの国々でも写真文化に力を入れて世界中から写真ファンや写真家が集まる観光資源としている国も増えてきており、日本でも北海道などの地方自治体が写真文化に力を入れて観光化を図る動きも現れ初めているものの、世界的に見てやはり遅れている。
しかし日本の写真文化は他国のそれと比べて独自の道を歩んでおり、近年では欧米諸国からの注目も高まっている。具体的には、海外での写真文化は基本的に一枚の写真作品であるのに対して、日本の写真文化は写真集やギャラリー展示が中心である。
自ずと一枚の写真が持つアート的意義と、写真集や展示といった複数写真で構成された1つの作品の意味や読み解くアート的意義とは全く別の意義がある。前者は世界中で盛んなものの、後者は日本人以外でのアーティストが少なく、視聴者にとっての意義も異なるため、大きな可能性を秘めているとも言える。