グループCの履歴

今はなき、高い人気を誇った耐久レース系自動車競技「WEC(世界スポーカー選手権)」が採用した車両規格のこと。80年代初頭から90年代初頭までのWEC始動から消滅までが実質的なグループCカテゴリの実効期間であり、しばしば
WEC=グループC
と認識されている。

グループC準拠のWECシリーズは、位置づけとしては「世界最高峰の耐久レース」であり、全盛期は「世界三大レース」のひとつ「ル・マン24時間レース」もこのシリーズの1レースとして組み込まれていた。

グループCはスポーツカーカテゴリのトップカテゴリに位置する(※ホイールがむき出しのフォーミュラカーはまた別のカテゴリ)。おなじスポーツカーカテゴリのAやBより改造範囲、規定の範囲が広く、ルールが単純でわかりやすかった。車両を設計する上での制限はせいぜい

  • 大きさの上限
  • 車重の下限
  • 燃料タンクの大きさ

程度。つまり競技専用のプロトタイプスポーツカーを設計するにあたり有効な規格であった。

WECはエンジンはなにを載せてもよかったのが画期的であった。

では巨大で高出力のエンジンを載んだら有利かというと、こちらはグループCの規格ではなくて競技側「WEC」側のルールで制限されていた。

「WECシリーズ、走るのは1000キロ。ただし使える燃料は600リッターに限られる。」

このように「燃費」で制限したのである。(※1000キロ以外のレースも規定されているが割愛)

- 1000キロ先にあるゴールまで、ガス欠をおこさずにだれよりも速く走れば勝てる -

このレースに出場する車両に載まれるエンジンのバリエーションは本当に多岐にわたり、わずか2650c.c.のエンジン本体に大口径の高圧縮ターボ過給器を二台とりつけ高回転で厳密に制御するポルシェから、8000c.c.過給器無しの大排気量エンジンを低速で回すジャガー、果ては燃焼サイクルがまったく異なるロータリーエンジンのマツダまで、ありとあらゆるエンジンが試され、戦うこととなった。

わかりやすく、ユニークであり、世界最高峰。
グループC準拠のWECシリーズは大人気を博し、80年代を代表的する自動車競技のひとつとなった。

なお、このシリーズの「顔」である代表的な車両「ポルシェ956」を操縦する故ステファン・ベロフ選手が記録した「ニュルブルクリンク北コース(全長約20キロ)」のタイムアタックレコードは25年経った現在も破られていない。