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細胞運動論Ⅰの履歴

2009過去問

1.細胞骨格のダイナミクスに関する「トレッドミル」と「dynamics instability」について説明せよ。
2.モータータンパク質の運動について、「歩く」「走る」の違いを「ATP加水分解サイクル」と「プロセッシビリティー」というを使って説明せよ。
3.実験技術を一つ取り上げ、原理、実験内容、知見を述べよ。

  • トレッドミル
  1. 端での重合速度と-端での脱重合速度が等しくなり、見かけ上は長が変わらない状態。

成長速度dN/dt=KonC-Koff=0
C:[Actin],Kon:重合速度定数,Koff:脱重合速度定数

  • プロセッシビリティー

キネシンなどのモータータンパク質において、2つの頭部は、片方のATP加水分解が起こるまでもう一方のADPは解離しない。こrをプロセッシブな動きという。:Run Lengthで視る。


山掛け

速度論からアクチンの重合をみる。

  • 核形成:伸張と比べてエネルギー的に起こりにくい。

↓lag phase :核形成
↓elongation phase :伸張
↓stational phase :安定状態

アクチン重合の観察

1:遠心沈降
沈降速度の違いを利用(Fアクチン[ポリマー]で大きい)

2:粘度測定:オストワルド型粘度計、フォーリングボール型粘度計
リアルタイムで測定可能。
ポリマーが多いと粘が高くなる

3:電子顕微鏡観察 EM
対象物の電子線の透過度をみる=解像度がよい
電子線情報を可視光線に変換する。
対象物は真空中に入れるため、生きているもはみられない。
試料は負染色法でみる。
→酢酸ウラン:−の電子がアクチン(+)のまわりによってくる。ウランは重原子で電子線を透過しないため黒く見える。
:アクチンフィラメント1本1本の長を計ることができる。
その他:リボソーム
らに発展:クライオEM(氷包埋法)
試料を一瞬で凍らせる。酸変を経ていないので、より生きた状態に近い。ただし、コントラストがない。→画像解析技術で補足。

4:蛍光顕微鏡観察

  • ファロイジン(毒キノコの毒成分):アクチンフィラメントに結合して安定化→摂取すると、肝臓細胞のアクチンが安定化、アクチンフィラメントが固まってしまい、肝臓不全を起こし死亡。
  • ファロイジンに蛍光色素ローダミンをくっつけた試をアクチンにかけると、Ccが下がり、アクチンフィラメントが増加。→可視化、らにCcが下がるので薄いアクチン溶液でも観察可。

:アクチンにファロイジンが結合してもミオシンとの相互作用が失われない。

中心体

  • 中心に中心子がある。:Triplet+微小管
  • 細胞分裂に先立って複製れ、各ペアが極となる。
  • 微小管がつっぱることで中心体・核が細胞の真ん中にいる。

微小管に影響する

  • タキソール:微小管βチューブリンのTaxoteneに結合。→安定化(脱重合×)

→硬化、細胞の機能不全、細胞周期を止める(→抗がん剤)

  • コルヒチン、コルセミド:チューブリンに結合→重合阻害

※サフランの持つ毒

  • ビンブラスチン:チューブリンに結合→重合阻害(脱重合促進)

※ツルニチソウ

  • ノコダゾール:チューブリンに結合→重合阻害

☆一度結合しても解離できるので実験的に扱いやすい。

アクチンに影響するもの

  • フォルミン:アクチンフィラメントに結合→重合促進

 アクチンフィラメントの重合核の形成、アクチンフィラメント+端の伸張促進

  • プロフィリン:Gアクチンに結合→アクチンの構造変化→重合できなくなる。

しかし、フォルミン↑と共に働くと重合促進
←フォルミンが結合したFアクチンにプロフィリンがGアクチンを運んでくる。

  • チモシン:プロフィリン同様、重合阻害。フォルミンとの共役はない。
  • ARP:アクチンに似ている。Arp2とArp3がある。

Arp2,3複合体:Gアクチン二個が結合できる。→重合核形成(+端にのみ伸張)、分岐形成

  • コフィリン:アクチンに対して1:1で結合→Fアクチンが太くなる、1ピッチが短くなる→不安定化→脱重合
  • ゲルゾリン:Fアクチンの切断、キャップ形成

高濃度;ゲル状態(固い)、低濃度;ゾル状態(やわらかい)

生体内の分子モーター

リニアモーター

  • 一次元の細胞骨格上を一方向へ動く。キネシン、ダイニン、ミオシン、RNApol、ヘリカーゼ

回転モータ−

  • 同じ場所でくるくる回る。ATP合成酵素、鞭毛

ミオシンのクロスブリッジサイクル

S1(頭部)領域の働く仕組み
ATP結合でS1が解離
ATP加水分解、ネックの角度変化
↓Piの解離でS1が結合
↓首の角度変化
↓ADPの解離
ATPの結合…

筋収縮の制御

(1)収縮→弛緩
細胞中のCa2+をATPを使ったCa2+ポンプで筋小胞体中に回収する。→TN,TMの構造、配置変化
→アクチンのATP結合部位がTMで覆われ、アクチンにミオシン結合できなくなる。

(2)弛緩→収縮
↓運動経から興奮が伝達れる。
↓骨格筋細胞膜電位が変化する。
電位変化がT管を通して筋小胞体へ伝わり、小胞帯膜上のCa2+チャネルが開き、Ca2+が細胞内に放出れる。
↓TNCにCa2+イオンが結合
↓TNとTMの構造変化。
↓アクチンとミオシンが結合し、収縮する。

TM:トロポミオシン:アクチンのサブユニット7個分に結合