万引きの話
アメリカでコンサルタントをしている友人から「万引き率」の話を聞きました。慣れない言葉なので、「万引き率って何ですか」と質問しました。
アメリカのショッピングセンターの統計で、販売員の人数に対して発生する従業員万引き犯罪数だそうです。そんな数値がない日本は,「安全でいい国だな」と感じていました。
でも、日本もすごい勢いで万引きの発生率が急増しています。
全国万引き犯罪防止機構は、2008年度 小売業の万引き被害実態調査を発表しました。増加傾向と回答したのは38、5%。業績低迷の小売業にとっては、ダブルパンチに見舞われています。
特に未成年者の万引きが急増して、都内上期だけで警視庁の発表で38%増です。専門家委員会を設置して対策を強化する方針だと言う。
万引きされた店主曰く、「万引きは犯罪なのに、子供が万引きをしても『弁償すればいいだろ』と開き直る親も多く、犯罪意識の薄さが被害の拡大につながっている」と嘆いていました。
どうしたら万引きは、未然に防げるのだろうか?
講演会でコンビニの役員が話していました。数千店舗ある中で万引きが多い店は決まっているそうです。そこで、この役員は捕まえた万引き犯に「なぜこの店が万引きしやすいのか」直接質問をしました。
「お客に関心がない店は、入りやすい。」と答えました。
具体的には元気がない。笑顔がない。作業に集中している店。レジに販売員が固まっている店です。
昨年度、僕が指導したお店での話ですが、3月から8月まで21件の万引きが発生しました。本部はたまらず5月に防犯カメラを設置しました。でも、なかなか減りません。
9月から店頭で笑顔の指導を始めました。アイコンタクトと笑顔で挨拶をする事を強化したんです。
結果、9月から11月まで万引きは1件です。その後も笑顔の効果は抜群です。
僕の推測ですが、万引きに笑顔が効果抜群なのは、犯罪者がコミュニケーションの苦手な人が多いからだと思います。ですから、普通のお客様以上に笑顔で挨拶されると心に響くんです。
万引き犯曰く、コンビニで万引きしようとして、販売員から笑顔で声をかけられて、おにぎりを買って帰った時もあったそうです。(笑)
残念なのは調査結果を読むと、万引き対策で笑顔や挨拶の効果が出てないです。
万引き防止に役立ったのは「防犯カメラの設置」「店内レイアウトの変更」がそれぞれ28、7%でトップでした。
ちなみに、万引きに従業員の不正などを加えたロスの金額は、全国で1325億円です。
砂漠のように乾いた世の中だからこそ、笑顔という人間関係の潤滑油が大切だと思います。数十万の防犯カメラを設置する前に、笑顔の処方箋をお試しあれ!
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