消極的販売はロスだ
笑顔の楽校 29
ケース⑩ ヤングカジュアルショップ
笑顔のないVMDは無意味です。
お声かけがほとんどない、典型的な「入りやすく、出やすいお店」。ハードの雰囲気は抜群ですが、ソフトはNGです。
消極的販売は、ロスである!
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全国展開している人気のカジュアルウェアショップです。
約80坪の店内は壁面(ディスプレイ)を多く用いて世界観がセンスよく表現されており、演出と陳列の売場構成のバランスも抜群。商品が絞り込まれ、見やすく、選びやすくなっています。レジカウンター周りもムダなものがなく、非常にきれい。いわゆる「VMD」が非常に徹底されています。
おしゃれでラフな外観に吸い込まれるかのように、午前の閑散時間帯にもかかわらず、お客様が次から次へと、面白いように入店します。が、しばらく観察すると、次々と入り、次々と出て行く、典型的な「入りやすく、出やすい」お店であることがわかりました。
最大の理由は、「消極的な接客」です。
つまり、放ったらかしなんです。お客様が鏡の前で商品を合わせようが、迷っている様子であろうがお声かけがほとんどありません。たまにおたたみしながら「いらっしゃいませー」と壁に向かって言っていたり、お客様のほうからの質問に対応する程度。
最も驚いたのは、スタッフ2人で打ち合わせしているすぐそばにお客様がいらっしゃって商品を見始めたのですが、全く無視して打ち合わせを続けていたシーンでした。
これってあまりにもひどすぎません?
お客様に喜んでもらおうという心が全く感じられません。お客様よりも本部からの展開指示書のほうが大事なのですか?
さらには、スタッフの「ここの服が好き!」「楽しい!」等、主体性や個性が見えてこないという点も残念でした。
お店(舞台)の主役は、商品ではなく、お客様と販売スタッフ
このお店の特徴は徹底したVMDですが、少々勘違いしているのでは?と思わざるをえない点があります。
❶ここはSC、展示会場じゃない
ショップや商品の見せ方は、とても整然としておしゃれなんです。でもここはショールームじゃないんですよ、SCなんです。もっとお客様に気軽に気さくにフレンドリーに接して、仲よくなって、何度も来ていただかなかったら、SCは成立しません。
❷商品演出よりも人間力に重点を
商品の演出も大事ですが、私達人間の目は商品そのものよりもそれを扱っている「人」のほうに行きます。このショップは、舞台装置としてはよくできているのですが、登場人物不在です。VMDでショップ運営をやるんだったら、スタッフがもっとイキイキしなければなりません。お店に笑顔の生まれないVMDは無意味です。
【コミュニケーションUPのポイント】
●販売効率調査で「人」の動きを
こういうショップには「販売効率調査」(①通行量 ②入店客 ③お声かけ数 ④的中率)をおすすめします。
スタッフの想像と最もかけ離れたデータが出るのは②です。そのギャップに気づくことが大事です。そして③④によって、お声かけしたお客様のうちどれくらいの的中率で売れたかがわかれば、接客は劇的に変わるはずです。
本来、これら「人の動き」を抜きにしてVMDは存在しません。だってお客様という「人」を対象にしている商売なのですから、消極的販売は、ロスである!
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