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科研費

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正直、医学分野では、国の出している科研費の多くが無駄だと思います。

というよりも、行政が新しい医学医療技術の開発にたいする支出を増やそうとすること自体、あまり効率の良くない戦略だと思っています。

こう考える理由は、2点です。
1、良質な医療サービスにとって、「新しい技術」は、一般に思われているほど重要ではない。
2、「新しい技術」の開発には、試行錯誤が必要であり、相当のコストがかかる。また、開発のためのコストは年々上昇しており、また、開発の成功率は低下し続けている。

良質な医療サービスにとって、「新しい技術」は、一般に思われているほど重要ではない。


第一に、実際に有効な治療技術のうちで、科学的な方法で作られた新しい技術の占める割合は非常に小さいのです。というのは、実際の医療で頼りになるのは、個人の経験に基づいた職人芸が多いのです。第二に、おそらく、医療サービス全体の品質の中で、治療技術自体の占める割合は、それほど大きくはありません。少なくとも僕には、マネジメントの良し悪しや、医療機関の立地、医師や看護師の士気などのほうが、技術自体の水準よりもサービスの品質に大きな影響を与えていると思えます。

したがって、新技術の発達によって、一般の人が受ける医療サービスの向上する度合いは、一般に思われているよりも遥かに小さいものなのです。もちろん、全く恩恵がないというわけではないのですが。

治療技術の中で、職人芸が科学的な方法よりも大きな部分を占めているというのは、小さな病院に限った話ではありません。大学病院などで行われる先端医療でも、依然として、徒弟制のもとで先輩医師から受け継がれてきた職人芸や医師個人の洞察力などが、科学的な診断治療の技術を支える上で大きなウェイトを占めているのです。

この傾向は、家庭医療とか地域医療と呼ばれるような、これまでの医療の枠組みの中でマージナルな立場にあった分野が台頭するなかで、より強まっている様に思われます。これらの新しく必要とされている分野では、治療のために、患者に対しての、「医師個人としての経験に基づく洞察力」を必要としているものが多いように思われるからです。

また、これらの治療技術自体、医療サービス全体の中では、それほど大きな部分ではありません。その証拠に、患者の満足度等に関する調査では、そのほとんどで、患者の満足度と医療施設の治療技術は相関しないという結果が出ています。もちろん、それには、患者には、医療技術の良し悪しが分かりにくいという側面もあるでしょう。しかし、患者の満足には、治療技術自体よりも、接遇であったり、あるいは、医師が、病気に関してより丁寧に説明してくれるといった部分であったり、悩みを丁寧に聞いてくれるといった部分であったり、そういった部分が大きいことは、忘れてはいけないと思います。

2、行政には、新しい医療技術に関する「目利き」が不足している様に思える。

行政やシンクタンクが発表する、「未来の医療」には、科学的な新技術が満ちあふれています。このギャップは、いったいなんなのでしょう?あの、出来の悪い医療技術SF小説を書く人たちは、どういう医療が望ましいと思っているのでしょうか?

このギャップは、医療関連の技術開発に携わっている人の多くが認識しているように思います。僕の知人には、「どうせ役に立たないものを開発しているけれど、公的な予算がつきやすい分野だから」と自嘲気味に話す研究者が何人もいます。これは、お金の無駄である以上に、優秀な才能の無駄でもあります。すべての研究開発が無意味だとまでは思いませんが、しかし、上に述べたような事情から、今後は、さらに無意味な研究の割合が大きくなっていくかもしれません。

僕は、行政が公的な資金を注入して医療技術を開発したり、新しい医療技術の開発の戦略を練ったりするような、そういう時代は終わるべきなのだと考えています。

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