SDI
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ひとつのウィンドウにひとつのドキュメントを表示する方式。
対して、ひとつのウィンドウに複数のドキュメントを表示する方式(ひとつのウィンドウにひとつのアプリケーション)をMDIという。
元々、ウィンドウというシステムはSDIを想定していたんだと思う。一つのウィンドウに対して、ひとつの操作対象のオブジェクトのほうがオブジェクト指向的にも自然だものね。
黎明期のSDI
そのため、初期のウィンドウズ(90年前後)や同時期のマックのGUIアプリの殆どは、SDIだった。
ただし、当時はPCに搭載してあるメモリの量が少なく、複数のドキュメントを同時に開くことが難しかったため、実質的にはSDIでもMDIでも変わりなかった。
MDIの興隆
やがて、90年代前半、メモリが安くなり、複数のドキュメントを開くことが普通になってくると主流はMDIに移る。
ドキュメントを複数開くことは難しくなくなったものの、アプリケーションを複数開くことは、やぱり、当時の時点では非現実的だったからだ。そして、一つのアプリケーションの中でドキュメントの編集を完結させる必要がある場合、MDIのほうが圧倒的に便利なのだ。
複数のアプリケーションを開くことが現実的でなかった理由は、
1,複数のアプリケーションを同時に起動するにはメモリが少なすぎた。
2,仮に複数のアプリケーションを立ち上げたとしても、当時のOSの昨日では、マルチタスクのサポートが擬似的なものに過ぎなかった。
3,アプリケーション間のデータ交換の方法が限られており、複数のアプリケーションを同時に立ち上げる意味が少なかった(このあたりは、OLEの発展とともに解消されていく)。
SDIの復讐
やがて、90年代後半、PCの性能向上、OSの機能拡張にともない、複数のアプリケーションを開くこともあたりまえになってくるにつれ、時代は再びSDI中心になってくる。マイクロソフト・オフィスなどは、この時期にSDIに移行する。
タブインターフェース登場(あるいはMDIの巻き返し)
2,000年前後から、さらにPCの性能が向上し、インターネットが普及したことで、状況は再び変化した。PCが扱うドキュメントが急増することで、ひとつのドキュメントごとに一つのウィンドウを割り当てるとウィンドウが多くなりすぎるという問題が発生するようになってしまったのだ。
その結果、「ウィンドウをあまりたくさん開き過ぎない」インターフェイスが好まれるようになっていく。
最初に変化したのは、ファイラだったと思う。
PCの性能が圧倒的に向上したことで一台のPCで扱われるファイル数が急増。
その結果、ひとつのディレクトリ(フォルダ)を開くごとに一つのウィンドウを割り当てるということが非現実的になってしまったのだ。その結果、フォルダを開いた時の動作として、「新しいウィンドウを開く」インターフェイスから、「既に開いているウィンドウの表示内容を変える」ウェブブラウザ風インターフェイスが好まれるようになっていく。
次に変化したのは、ファイラに影響を与えたウェブブラウザ自体の変化だ。この時期から、急にタブブラウザが好まれるようになってきたのだ。これも、やはり、ウィンドウが多数開きすぎる問題に対しての反応だと思う。
タブブラウザの普及の結果、タブインターフェースに皆が慣れたことで、昨今のタブインターフェース普及につながっていく。
かつてのMDIと現在のタブインターフェースの違い
かつてのMDIが、複数のアプリケーションを開かなくてもいいようにする(同時に、ユーザーが複数のアプリケーションを開きにくい障害を意図的に持ち込むことで安定動作を目指す)ことを目的に作られていたのに対して、現在のタブインターフェースは、ウィンドウを多数開き過ぎないことを目的にしている。
別の言い方で言うと、かつてのMDIがPCのメモリとCPUを節約することを目的にしたインターフェイスだったのに対して、現在のタブはPCのディスプレイ領域を節約することを目的にしたインターフェイスである。
そのため、まあ、結構大きな違いがある。その話は、まあ、後日加筆する。
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