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富士ホテルの噂の履歴

ひそやかにたのしめと我にたまひつる
春やときはに花ぐもりして

 こうした秘密の契りと法悦とのある心境がなくては、宗教は外面的な、薄っぺらな騒がしいものになってしまうであろう。
一つひろい世界を打ちまはり一せん二せんでたすけ行く
 こうした大衆的な、街頭的な、そして現世利益的な救いのための働きは、確かに宗教になくてはならないところの、それがなくては遂に享受の宗教に終って、火宅熱腸の信仰ではないところの、無くてはならないものではあるが、しかもそれにもかかわらず、信仰には又一面この秘やかな密契と面々授受との、全く私的な境地がなくては活ける信仰ではないことを牢記すべきである。


 幼ないころの神秘と小さな冒険とのなつかしい思い出の残るのは西城川だ。これは中国一の大河郷ノ川の上流にあたり、伯耆境から源を発して、北備後をめぐり流れている。私は八、九歳ころから川遊びを覚えた。初めは浅い所でペチャペチャやってたが、分家の武村の良一という年上の従兄が恐れる私をいきなり丈のたたぬ流れのまん中に突きやった。私は夢中で、手足を動かしたが、それがキッカケで水胆が出来て泳げるようになった。それからというもの水胆があるという事は私の得意で、未知の淵や、急流などへ一番乗りをしたものだ。
 私は非常に川が好きだった。泳ぐのも好きだが、川瀬の音を聞いたり渦を凝視したり、水の中に透き通る自分の股の下を目高の群が泳いでくぐったりするのが不思議な、好奇を感じさせた。