創発の履歴
創発とは?
英:Emergence
もともとは生物学用語であるが、物理化学者であったマイケル・ポランニーが、社会科学用語に転用した。
部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れること
出典:Wikipedia
ここから、創発は、非予定調和と言うこともできる。
現出典のマイケル・ポランニーの言葉を見てみる。
上位レベルは、下位レベルの諸要素をそれ自体として統括している規則に依拠して、機能する。しかし、こうした上位レベルの機能は、下位レベルの規則で説明することはできない。
個々の諸要素を統括する規則によって、より高位層の組織原理を表すことはできない。
出典:暗黙知の次元 マイケル・ポランニー著
創発の例
セル・オートマトン
蟻の隊列
餌を見つけた蟻はフェロモンを出す。他の蟻は、そのフェロモンに釣られる。それが繰り返されることにより、蟻の隊列となる。最初の蟻は、その隊列を意図したわけではないのに、結果的に隊列ができる。
煉瓦焼きの技術の例(暗黙知の次元で紹介されている例)
- 下位:原料~煉瓦焼き職人~建築家~都市設計家:上位
煉瓦焼き職人は原料から煉瓦を作ることができる(下位レベル)。建築物(中位レベル)は建築家によって煉瓦から作られる。煉瓦職人は煉瓦の特性を知っているからと言って建築物を建造することはできない。しかし建築物には煉瓦が必要である。
都市計画(上位レベル)は都市設計家によって行われる。建築家は建造物の特性を知っているからと言って都市計画をできるわけではない。ましてや、煉瓦職人が都市計画を立てられるわけでもない。しかし都市計画には、建築物も煉瓦も必要である。
その他の例
- 雪の結晶
- 脳内のシナプス
- 人間組織
- 都市の発達
- 星雲・星団の発達
関連ワード
- 複雑ネットワーク
- ナレッジマネジメント
- 暗黙知
- 自己組織化
参考文献
暗黙知の次元 マイケル・ポランニー著