思想の履歴
思想を持つ、思想を語るのは、著名な思想家のみの特権ではない。思想は誰でも持つことができる。
思想と職業
思想は人生の方向性を決定づける。関心の対象や職業・仕事など。思想が示す方向性と職業が一致すれば、仕事をすることは喜びとなる。
思想はいつ決定づけられるか?
個人差があるので一概には決められない。少し強引かもしれないが、二つに定義してみる。
- 自己の内面における思想形成
- 社会からの影響による思想形成
自己の内面における思想形成
子供のころ理由もなく夢中になれたこと、没頭できたことが、結局は好きなことである。それは志向性であり思想とも言える。時期は小学生高学年から中学生・高校生まで(10歳から18歳)である。理科系については、「理科少年」を参照のこと。
「理科少年」
社会からの影響による思想形成
時期は、大学から社会人になっての数年間である。年齢では18歳から25歳ぐらいまで。その時々の社会問題やエポックメイキングな社会的な出来事が思想に影響する。
大学
- 入学:大学に入ると急に世界が広がる。大学の文化・雰囲気・先生たちの思想から影響を受ける。
- 就職活動:売り手市場なのか、就職氷河期なのかで、もろにその後の人生観に影響を与える。
社会人として
- 社会人デビュー:社会人になって初めて働いた会社の文化・雰囲気。世の中には多種多様な会社がある。残念ながら入ってみないことには分からない。しかし最初に入った会社の文化・雰囲気が、やはりその後の人生観に影響を与える。
- 終身雇用崩壊:1997-1998年を境に、終身雇用が崩壊し、学生には企業が狭き門になったと言われる。その後増えたのは非正規労働である。1998年卒以前、大学卒業時の目標のマジョリティは、正社員として採用されることであったに違いない。1999年卒以降、大学卒業時の目標は、必ずしも正社員としての採用ではなくなった。それは選択肢の一つになった。
社会問題
- その時代の社会問題、社会に対する関心。エポックメイキングな出来事。筆者の大学時代(1988~1992)、日本はバブルであり、経済的に世界に勝利した時期であった。関心事は、国際貢献であったように思う。ODAというのは経済学部の学生の最大の関心事だった。1991年の湾岸戦争では、日本は人材的貢献ができず金銭的貢献のみであった。湾岸戦争でミサイルが飛び交うシーンはテレビで放映された。少しさかのぼり、1989年には天安門事件、ベルリンの壁の崩壊、1990年には東西ドイツ統合、1991年にはソ連が崩壊した。高校生まで、世界は自由主義陣営と社会主義陣営に分かれていると教わった。その世界観が崩壊した。
- また多くの若者が新興宗教に足を踏み入れるのもこの時期である。
エポックメイキングな年
その時々の若者に影響を与えたであろうエポックメイキングな出来事
- 1868年・・・明治維新
- 1904年・・・日露戦争
- 1945年・・・太平洋戦争終了
- 1971年・・・インテル4004
- 1991年・・・ソ連崩壊
- 1995年・・・Windows95
- 1997-98年 ・証券・金融不況・終身雇用崩壊
引用
思想の過ちに人は人生を費やし国家は百年を費やす。
改訂履歴
2010.01.24 「理科少年」を分離
2010.01.17 新規作成