学問のすゝめの履歴

「学問のすゝめ」は、明治5年(1872年)から明治9年(1876年)にかけて17編の分冊として発行され、明治13年に合本し1冊の本として出版された。

「学問のすゝめ」は、100年以上読み継がれる古典の名著・良書である。「20代のうちに読んでいただきたい書」の一つである。

天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らずと云えり。

「天は~」は初編の冒頭の言葉である。これは、人類皆平等を言っているのではない。これには続きがある。重要なポイントを原語で抜き出す。

賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり。

 身分重くして貴ければ自ずからその家も富んで、下々の者より見れば及ぶべからざるようなれども、その本を尋ぬればただその人に学問の力あるとなきとに由ってその相違も出来たるのみにて、天より定めたる約束にあらず。諺に云く、「天は富貴を人に与えずしてこれをその人の働きに与うるものなり」と。されば前にも言える通り、人は生まれながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。


つまり、「人の上下(貴賎、貧富の違い)は、天の思し召しではなく、学ぶか学ばざるかの違いだ、だから学問に努めよ」と言っているのである。

一身独立して一国独立する


第三篇の主要なメッセージである。原文より重要な箇所を抜き出す。

我日本国人も今より学問に志し,気力を慥にして,先ず一身の独立を謀り,随て一国の富強を致すことあらば,何ぞ西洋人の力を恐るゝに足らん。道理あるものはこれに交り,道理なきものはこれを打払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこの事なり。


この「一国独立」とは、西洋列強から攻められることなく独立を保つということである。その「一国独立」の前提条件が「一身独立」である。「一身独立」とは個人の独立のことである。個人が学問に励み、自分を確立させなさい、そうすれば、他人に攻撃されることもなく、他人に依存することもなくなる、そういう人たちが集まれば、国もまた独立を保てる、ということである。

書籍

分かりやすくておすすめ。

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

リンク

以下で原文全文参照できる。

  • 慶應義塾大学>上田修一

http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/gakumon.html

  • 青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/47061_29420.html

改訂履歴

  • 2010.07.24 「一身独立して一国独立する」を追加した。
  • 2010.07.13 原文を見つけたのでリンクを追加した。
  • 2010.02.10 初版 天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らず