イチロー式 不況克服策
僕は、不況という言葉が嫌いだ。
誰しも不況という言葉を使うとき、過去の好況時代のイメージをどうしても引きずっているからだ。もう、誰も過去には戻れない。
毎週のように送られてくるお世話になった取引先担当者からの早期退職の案内状。百貨店や空港アテンダントなど日本の成長期を中心で築いて来たエリート戦士たちが巷にあふれようとしている。
いま、店頭に立ち企業を直視すると経営者たちは、チェンジという時代の変化に対応できるのだろうか?
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僕が勧めるのは、イチロー方式で不況克服だ。
過去の成功マニュアルを基準にしたフォームにこだわらない。
オリックス時代の亡くなった土井監督との話は有名です。結果、アドバイスを受け入れないイチローの2軍生活が続いた。
いまでもイチローのフォームは、毎年変化し続けている。留まる所を知らない。
「打率」に集中するのではなく、「安打数」に集中。
打率は、どんな一流打者でも下がる事はあります。必ず増え続ける「安打数」に的を絞る。減る事がないから積極的に打っていける。だから楽しいのだ。
プロ野球で3割打者と2割5分の打者では、一億円プレーヤーかトレードに出されるかの深刻さがあります。天国と地獄の開きだ。
でも、数字にすると年間500打数と仮定し、150安打で3割打者、125安打で2割5分だ。その差は、25本。一週間でたった1本打てるか打てないかが一流と二流の差なのである。
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いま、ビジネスの世界でも同様の現象が起こっています。
あなたのお店や会社は一流ですか。二流ですか?
僕の指導は格闘技です。まずは環境ベーシックから入るからです。整理/整頓/清潔/清掃/躾。この内容は、著書『売上げがぐんぐん伸びる「笑顔」の法則』 ダイヤモンド社 で紹介しました。理念を学びながらエラーをしない足腰を作る事です。
そして、イチローの安打数のこだわりと同様なのが、「入店客数」です。
手を前に組んで、お客様を迎え入れているお店は、ほとんど全滅です。
いま「待ってくるのはクレームだけ」です。
入店しやすいウエルカムの体制づくり。
二流の店は、巡回しても誰も店頭にいない。居ても手を前に組、背後霊のようなスタイルでは、入店しにくいですね。入りにくい店は、売れません。「どうしたら売れるのか」ではなく「どうしたら入りやすいか」の視点で見直してみることがスタートです。
「いい物を安く」だけでは売れません。いい物を安く感じさせるには何が必要か。人が感じるのは、言葉やマニュアルよりも表情です。表情の中で一番の花形は笑顔です。笑顔の基本は、なごみ顔。人間は、表情や動く物に反応します。ダメなお店は、真顔が怖い。
眉間にしわ寄せて売れない時代と騒ぐ前に、なごみ顔や笑顔が出ちゃう環境づくりが急務です。商品や売り場づくり、演出などハードな分野は、すべて賞味期限があります。
すべてを合理化しても人と人とのコミュニケーションだけは、強化する時代がやってきたようです。楽しい雰囲気に人は引きつけられ、笑顔のお店でお金を使う。あなたの笑顔の数がイチロー流の安打数。笑顔数は、こつこつと増え続ける「足し算」です。
笑顔は、お客様との絆を結ぶ幸せのバロメータなのだ。
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先日、お店の笑顔数の測定をオムロンさんに頼んでみました。システム的には可能だそうです。すでに不審者の測定は出来る仕組みがあります。コミュニケーションの質と回数、笑顔の数と買い上げ点数の関連が証明されれば面白いですよ。僕は、20年間、笑顔の効果を測定してきました。もっと科学したいです。
現状は、笑顔や入店客数を増やするどころか、お店に販売員が居てもお客様に気付かない、遅く気付くから背後霊のように近づく。売れないんじゃなくて、売っていないです。
しかも、笑顔が大切だとスローガンを唱えても、ほとんどの会社ではお給料に笑顔評価が組み込まれていません。安打数が笑顔数だと証明されれば、笑顔後進国の日本に新しい光が見えてくると感じています。
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