フレンドリーからはじめよう
ここ数年、「おもてなし」とか「ホスピタリティ」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。両者は同一のように思われがちですが、大学でホスピタリティビジネスを教えている僕から言わせていただくと、ホスピタリティはおもてなしではなく、「フレンドリー」です。
フレンドリーとは、気さくで温かく、親切なこと。おもてなしが人との距離を保つものだとすると、フレンドリーは相手に積極的に近づいていき、親しくなることです。
そもそも、おもてなしというのは、おもてなしする側に時間やスタッフ数、気持ちのうえでの余裕がないと実現不可能です。現代でそれができるのは、1泊5万円以上の一部高級旅館やホテルくらいでしょう。当然、ターゲットは富裕層に限られます。
一方、一般の販売現場では、すべてのお客さまに喜んでもらわなくてはなりません。しかも最低人員で現場を回さなくてはならず、アルバイト比率も高く、作業量はいっこうに減らないという環境ですから、おもてなしは無理な話なのです。
「フレンドリー」から入り、
「おもてなし」に行き着く
販売の世界でおもてなし接客の代表といえば百貨店ですが、制服姿で手を前に組み、背後霊のようにお客さまについて回るスタイルは、いまや敬遠されるようになってきました。
ある調査によると、百貨店の販売員から「話しかけられたくない」と答えた人は68%にものぼります。
理由は、時代の変化です。コンビニ、ファストフード、ファミレス等の文化に慣れてしまったお客さまは気軽さを好む傾向が強いため、百貨店的おもてなしは「売りつけられそう」と警戒します。
しかし時代が変わっても、おもてなしの精神そのものは絶対になくしてはいけないと僕は思います。そこで問題になるのは、販売側、お客さま相方にとって笑顔になるおもてなしをどう実現するか?
答えは、「フレンドリー」から入って「おもてなし」をすること。おもてなしの気持ちを大事にしながら、オペレーションはフレンドリーにするということです。
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