フレンドリーからおもてなしへ
前号に続き、作業量が膨大で、アルバイト比率が高く、最低人員でたくさんのお客さまの応対をしなければならない販売の現場で、「おもてなし」をする方法についてお話しします。
この場合、いきなりおもてなしをしようとしてはいけません。最初は「フレンドリー」から入って、徐々に「おもてなし」に行き着く技術が必要です。
最大のポイントは、入り口でのウェルカム体制を強化することです。フレンドリーでは「迎え7:送り3」と考え、最初の「ようこそ!」にウエイトを置きます。「迎え3:送り7」で、送りを手厚くするおもてなしとは全く逆の考えです。なぜならば、最初の「ようこそ!」があってこそ、帰り際のお客さまの笑顔のモトになり、リピートにつながっていくからです。そして、このフレンドリーな迎え入れなくして、おもてなしの心が通う接客にはつながりません。
それを踏まえたうえで、お店を3つのゾーンに分け、ゾーンごとの役割とスタッフの行動を明確にしていきます。
入り口=ウェルカムゾーン[ 1:多数]
「迎え7」のためには、お店の入り口付近でおたたみなどの軽い作業をしながら、お店の前を通るお客さまたちにアイコンタクトと笑顔で、お声かけします。お客さまが入店するのを待っているのではなく、迎えに行く感覚です。某アパレル専門店では、ウェルカムのお声かけを強化しただけで入店客数が119%伸びました。
中央=コミュニケーションゾーン[1:多数]
入店客に対して、さり気ないコミュニケーションをとっていきます。
あるセルフ物販のショップでは、カゴを持たずに商品を手にしているお客さまに「カゴ渡し」をしただけで、購入点数が130%アップしました。
食品系なら、試食シーンなども大々的に見せるのも効果的です。
奥=おもてなしゾーン[1:1]
レジを中心としたお店の奥で、ゆったりとカウンセリングセールスを行います。
(※30坪以下のお店は、ウェルカムとコミュニケーションを一体化させる)
お客さまによって、喜ばれる
「フレンドリー」の表現が変わる
フレンドリーの表現方法(コミュニケーションの型)は、お客さまの年代等によっても変わります。同様に、おもてなしの表現方法もお客さまに合ったものでないと意味がありません。
◎若年層…感情で表現する接客
百貨店的おもなしには「売りつけられそう」と抵抗を感じる年代。気さくな感情表現で距離を縮めていきましょう。
ex, やや高めのテンション、気さくな笑顔
◎中高年層…言葉で表現する接客
百貨店的おもてなしで育った年代。フレンドリーさは、感情でなく「言葉」で表現し、やや距離を保つ感覚のほうがスムーズです。
ex,「何かおさがしですか?」「ご一緒におさがしいたしましょうか?」等、一言プラスする
表現方法は、お店のタイプや扱う商品によっても変わります。
でもどんな場合でも共通しているのは、個々のお客さまに対して「どうしたら親しくなれるか?」を考えて、温かい、喜ばれる、積極的な接客=攻めのサービスを心がけるということです。
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