笑いと笑顔は違うのだ
人はどうして笑うのだろうか?
「人はなぜ笑うのか」の著者 志水彰教授は、笑いを分析する。『「うれしくて笑ったり、おかしくて笑ったりする一方で。嫌いな上司でもニッコリとほほえみ、欲しくもないプレゼントをもらっても笑顔でお礼を言います。このような挨拶の為の笑いは、実は動物があやまって口の中に入れた毒物を吐き出す動作が進化したもの。その動作が吐き出す時だけでなく、驚いた時にでるようになり。危険のシグナルとしての意味をもつようになる。
サルでは、この口の動きがさらに進化し、目の動きが加わった表情が、自分は攻撃する気はないが、攻撃されるかもしれない優位の相手におこるようになる。敵意のないことをしめす「劣位の表情」が人間の「社交上の笑い」に発展する。
子供サルに多い遊びの場面で相手とのかかわりを求めながら、しかも攻撃はしない相手に見られる「遊びの表情」が人間の「快の笑い」へと進化したものと考えられる。
人間の笑いは挨拶のときのほほえみに代表されるコミュニケーションの手段としての「社交上の笑い」と、楽しいとき自然に笑ってしまう感情が主役の「快の笑い」に大別される。この二つは時として区別しにくい。』
「人はなぜ笑うのか」より引用
広い意味では、「笑顔」は、読んで字のごとく笑い顔も含みますが、「笑い」と「笑顔」を区別して考えます。笑いは「おかしい」「楽しい」など、個人的な感情が形になったものです。つまり、たった一人でも笑うことはできます。しかし、「笑顔」は他人との正常なコミュニケーションを行うための、きわめて対外的な役割を担っています。笑顔は一人ではできません。相手がいるから笑顔です。目の動物である人間は、アイコンタクトと笑顔は多くの場合セットで表現されます。
さらに笑顔は、「社交辞令の笑い」を意味する。「社交的な笑い」と「辞令的な笑い」に分かれます。「コミュニケーションのための自己表現」であり、笑いは「個人的感情の表現」だということ。テレビを見て笑ったり、声を出して笑うのはLaughになり笑顔ではない。
しかも日本語は、笑い顔と書いて笑顔と読む。広い意味では、笑顔という文字は、すべてを都合良く包み込み、心や精神世界へと入り込んでしまう。さらに抽象的になり、心地よく曖昧で定義しにくい。ちなみに欧米では、Smile(笑顔)とLaugh(笑い)は、しっかりわかりやすく区別されている。
笑顔は相手に対するポジティブな感情を積極的に伝え、相手と感情を分ち合うコミュニケーションの技術です。人間関係の中で相手を認めるという意味をもっています。だかこそ、笑い顔の中の笑顔にこだわりたい。
◆笑顔の法則10
笑いと笑顔は違う。Smile(笑顔)とLaugh(笑い)は別物。
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