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中国化

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中国化する日本」より。
中国化」とは、政治的な強い統制(中央集権)と経済的な自由の組み合わせによる社会に移行すること。
中国では、近世以降(宋王朝以降)、ほぼ一貫して、経済的には徹底的に自由が認められると同時に、政治的には皇帝(あるいは、現代においては、共産党政権)に対する批判は不可能となり、強力な独裁者による中央集権が勧められてきた。

民主主義と自由主義の両立を理想視してきた西欧近代のシステムからは、違和感があるが、この近世以降の中国社会のコンセプトは、私人の経済的自由と、独裁者の政治的統制は、ほぼ完全に相補的な関係にあるというものである。

なぜなら、
1,徹底的に経済的な自由を欲する私人は、常に既得権者と対立し、その利益を追求するためには、既得権者を攻撃する独裁的な指導者を待望する(たとえば、ホリエモンと郵政解散の際の小泉元首相の関係を想起されたい)。
2,経済的な自由を認めれば認めるほど、社会は、倫理観や道徳、法律等に関する、より強力なコンセンサスがなくては安定できなくなる。そのため、逆説的ではあるが、自由な社会では、社会全体を強力に主導するイデオロギーを必要とする。主導的なイデオロギーに対する反対意見は、社会を不安定化させるため、強力に取り締まらざるをえない。
3,中央の独裁者は、社会を安定させるためには、その権威を維持せざるを得ず、そのためには、地方の有力者の経済的基盤を脆弱なものにしておく必要が有る。そのために、自由経済によるダイナミクスを利用する方策が便利になることが多い(もっとも、独裁者の立場からすると地方の有力者を攻撃できさえすれば、必ずしも自由経済が必要とされるわけではない。例外的ながら、歴代の中国の独裁者の中には、自由経済以外の方法で地方の有力者を攻撃した者も幾つか存在する。たとえば、毛沢東による文化大革命を想起されたい)。

この、自由経済政治的独裁の組み合わせによる社会「近世」が宋代の中国で誕生し、イスラム世界に移植され、ヨーロッパの中東欧の啓蒙専制君主たちや西欧の絶対王政に受け継がれた、と解釈する。

この自由経済政治的独裁の組み合わせは、ひとつの安定した「完成形」であり、したがって、将来、中国が「民主化」することは考えにくい、と考える。

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