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金無垢の煙管

「おお、とらす。持ってまいれ。」
「有難うございまする。」
 宗俊は、金無垢の煙管をうけとると、恭しく押頂いて、そこそこ、また西王母の襖の向うへ、ひき下った。すると、ひき下る拍子に、後から袖を引いたものがある。ふりかえると、そこには、了哲が、うすいものある顔をにやつかせながら、彼の掌の上にある金無垢の煙管をもの欲しそうに、指さしていた。
「こう、見や。」
 河内山は、小声でこう云って、煙管の雁首を、了哲の鼻の先へ、持って行った。
「とうとう、せしめたな。」
「だから、云わねえ事じゃねえ。今になって、羨ましがったって、後の祭だ。」
「今度は、私も拝領と出かけよう。」
「へん、御勝手になせえましだ。」
 河内山は、ちょいと煙管の目方をひいて見て、それから、襖ごしに斉広の方を一瞥しながら、また、肩をゆすってせせら笑った。

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