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何もな、何も知らんのえ

「何もな、何も知らんのえ、私路之助はんのは、あんたはん、ようお馴染の――源太はん、帯が弛む――いわはった妓どすの。それをば何やかて、私にして疑やはってな、疑やはるばかりやおへん、えらいこと怨みやはる。
 ……よって、お客はんたちに分れて、一人で寝るとな――藍川館いうたら奥の奥は、鉄道線路に近うおすやろ。がッがッ響がして、よう寝られん、弱って、弱って、とろりすると、ぐウと、緊めて、胸倉とって、ゆすぶらはる、……おかみはんどす。キャアいうて、恥かし……長襦袢で遁げるとな、しらがまじりの髪散らかいて、般若の面して、目皿にして、出刃庖丁や、撞木やないのえ。……ふだん、はいからはんやよって、どぎついナイフで追っかけはる。胸かて、手かて、揉み、悶えて、苦して、苦して、死ぬるか思うと目が覚める……よって、よう気をつけて引結え、引結えしておく伊達巻も何も、ずるずるに解けてしもうて、たらたら冷い汗どすね、……前刻はな夢でのうて、なおおそろして、おそろして。」
 それで、あの、階子段――
 今度は大森彦七が踏みこたえた。
「神経だ、神経ですよ。」
 誰でもこの場は知識になる。

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