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その晩、私たちをホテルまで

 その晩、私たちをホテルまで送って来た社長は帰り際に「そうだ、護謨園の生活を是非見て貰わなくちゃ、――一晩泊りの用意をしといて下さい」
 と云って更に、
「そりゃ、健康そのものですよ」
 あくる朝、まず、社長がホテルに迎えに来て、揃ってサロンで待っていると、大型の自動車が入って来た。操縦席から下りたヘルメットの若い紳士を、社長は護謨園の経営主だと紹介した。
「電話でよく判らなかったが……」
 と経営主は云ってから、次に、私たちに
「いらっしゃい。鰐ぐらいは見られます」
 と気軽に云った。
 車は町を出て、ジョホール街道を疾駆して行った。速力計の針が六十五哩と七十哩の間をちらちらすると、車全体が唸る生きものになって、広いアスファルトの道は面前に逆立ち、今まで眼にとまっていた榕樹の中の草葺きの家も、椰子林の中の足高の小屋も、樹を切り倒している馬来人の一群も、総て緑の奔流に取り込められ、その飛沫のように風が皮膚に痛い。大きな歯朶や密竹で装われている丘がいくつか車の前に現れ、後に弾んで飛んで行く。マークの付いている石油タンクが乱れた列をなして、その後にじりじりと展転して行く。

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