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風にあたつても

 風にあたつても、雨にふられても、うちへうちへと、しつとりくぼめの抑へをひきしめて、一緒に泣いてでも呉れるやうな、なさけはちりめんの着物よりほか持つてゐません。
 今のちりめんでは、綿紗とか西陣とか小浜とか立派な名を持つてゐるのより、むしろ名もないたゞの地になつて、やたらに友染の染め下地になつてるやうな普通のちりめんといふだけで通るあのちりめんがなつかしくて好きです。でなければ、優しい静な心の地へ、ところ/″\熱情のしこりを持つたやうな紋ちりめんが好きです。
http://mindia.jp/book/oukoku/entry/7105

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