クレジットカード王国の最新の日記
<< 前の日記へ 一覧を見る 次の日記へ >>

 

云わないで済むわけのものでない

「云わないで済むわけのものでない。その仔細をはっきりと云え。女が一旦他家へ嫁入りをした以上は、むやみに離縁なぞすべきものでも無し、されるべき筈のものでもない。唯だしぬけに暇を取ってくれでは判らない。その仔細をよく聞いた上で、兄にも成程と得心がまいったら、また掛け合いのしようもあろう。仔細を云え」
 この場合、松村でなくても、まずこう云うよりほかはなかったが、お道は強情に仔細を明かさなかった。もう一日もあの屋敷にはいられないから暇を貰ってくれと、ことし二十一になる武家の女房が、まるで駄々っ子のように、ただ同じことばかり繰り返しているので、堪忍強い兄もしまいには焦れ出した。
「馬鹿、考えてもみろ、仔細も云わずに暇を貰いに行けると思うか。また、先方でも承知すると思うか。きのうや今日嫁に行ったのでは無し、もう足掛け四年にもなり、お春という子までもある。舅小姑の面倒があるでは無し、主人の小幡は正直で物柔らかな人物。小身ながらも無事に上の御用も勤めている。なにが不足で暇を取りたいのか」サークルでTシャツを作った思い出 - クレジットカード王国 - mindia(マインディア)

コメント

コメントはまだありません

コメントできません