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「遠くからどんな弟子が来るのだね」

「遠くからどんな弟子が来るのだね」と、半七は訊いた。
「遠方から来るのですから、若い人はありません、大抵は二十代か三十代の年増《としま》です。日本橋や神田の下町《したまち》からも来ますし、四谷牛込の山の手辺からも来るそうです。まあ、囲い者のような女か、後家さんらしい人たちですね」
 この上に深い詮議をするのもよくないと思って、半七は勘定を払って蕎麦屋を出た。文字吉という師匠はそれほど上手でもないと云うのに、なぜ遠方から年増の女弟子がわざわざ通って来るのか、それには何かの仔細がありそうに思われた。半七はそれを考えながら、熊野権現の社のあたりをひと廻りして、実相寺門前の文字吉の家をたずねると、五十六七の雇い婆らしい女が出て来て、三角な眼をひからせながら無愛想に答えた。
「お師匠《ししょ》さんは風邪を引いて寝ていますよ。お前さんはどなたで……」
「お弟子入りの子供をたのまれて、赤坂の方から参りましたが……」と、半七はおだやかに云った。PCが苦手でも依頼すれば電子書籍で自費出版出来ます - クレジットカード王国 - mindia(マインディア)

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