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源次が来ている以上

 源次が来ている以上、庄太も来ているかも知れないと、半七は気をつけて見まわしたが、其処らにそれらしい人影も見えなかった。大通りへ出ると、百人町の武家屋敷は青葉の下に沈んで、初夏の昼は眠ったように静かである。渋谷から青山の空へかけて時鳥《ほととぎす》が啼いて通った。
 半七は時々うしろを見かえりながら善光寺門前へさしかかると、源次は怱々《そうそう》に仕事を片付けたと見えて、やがて後《あと》から追って来た。半七は彼を頤《あご》で招いて、善光寺の仁王門をくぐろうとしたが、また俄かに立ちどまった。青山善光寺の仁王尊は昔から有名で、その前には大きい草鞋や下駄がたくさんに供えてある。奉納の大きい石の香炉もある。その香炉に線香をそなえて、一心に拝んでいる若い男の姿に、半七は眼をつけた。PCが苦手でも依頼すれば電子書籍で自費出版出来ます - クレジットカード王国 - mindia(マインディア)

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