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自分が上野まで往復している間に

 自分が上野まで往復している間に、ほかの客が来たのではあるまいかとも考えた。自分は今夜来ない筈になっていたのであるから、先客に座敷を占められても苦情はいえない。しかし馴染みの客が茶屋に来ているのに、今まで迎いに来ないという法はない。
「今夜の客というのは侍か町人か、どんな奴だろう」と、外記は軽い妬みをおぼえた。
 さっきから女房が再び顔を見せないのは、何か向うにごたごたが起ったのではあるまいかとも考えて見た。座敷を明けろとか明けないとかいう掛け合いで、茶屋が自分のために骨を折っていてくれるのではないかとも善意に解釈して見た。外がだんだんに賑わって来るにつれて、外記はいよいよ苛々して来た。迎いの来るのを待たずに、自分から大菱屋へ出掛けて行こうかとも思った。
 女房は息を切って階子をあがって来た。
表は次第に賑やかになって - クレジットカード王国 - mindia(マインディア)

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