印刷革命の履歴

イノベーション史の骨子

  • テクノロジーの発明・科学上の発見
  • オートメーション
  • イノベーション

テクノロジーの発明・科学上の発見

1444年、金属加工職人である独ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を用い、商業印刷事業を開始した。それ以前に、グーテンベルグは活版印刷技術を開発していたことになる。実際に彼が発明者であるかどうかというのは論争がある(Wikipediaによる)

オートメーション

活版印刷登場以前

それまでの聖書は、教会・修道院による模写によって作られていた。聖書は教会の外に持ち出すことが禁止された。聖書の内容は聖職者の口上のみによって知ることができた。聖書を所有することにより、教会・聖職者は権威を保つことができた。

大量印刷・出版の時代の幕開け

1455年、活版印刷機を用い、旧約・新約聖書を印刷した(いわゆる「グーテンベルグ聖書」)。印刷技術の出現により、大量印刷(出版)が可能となり、多くの人が書物を手に入れることができるようになった。

イノベーション

大量印刷は爆発的に知識を普及させた。

  • 書物を手にいれたことにより、聖書・地動説・君主論などを読書することで、知識が爆発的に普及した。

宗教改革への発展

  • 1517、マルティン・ルターによる宗教改革が始まった。なぜ宗教改革が可能になったのか。それは人々が既に聖書を手に入れ、宗教に対する正しい知識(インテリジェンス)を手に入れていたからに他ならない。庶民が聖書を手に入れたことによって、それまで聖書を独占していたローマ・カトリック教会の権威は失墜した。

カトリック教会の宣教:大航海時代へ

  • 宗教改革の影響は思わぬ展開となる。大航海時代の幕開けとともに、宗教改革に押されたローマ・カトリック教会は、世界へ宣教に出る。1549年、いよいよ日本へキリスト教が伝来する。

ピューリタンらによる民主革命

  • 1642年、英国では人類史上初の市民革命となる清教徒革命(ピューリタン革命)が起こる
  • それ以前、英国のプロテスタントの一派、ピューリタンは弾圧を逃れ、1620年アメリカに渡る。1776年、アメリカはイギリスからの独立を果たし、さらに飛び火をして、フランス革命へと繋がった。

結論

印刷技術により人々は知識を手に入れ、宗教改革を経て民主革命へと繋がった。単に技術があっただけでもなく、大量印刷というオートメーションだけでもなかった。300年以上かけて宗教体制・政治体制をひっくり返したイノベーションだったのである。

年号

黎明期

  • 1444年 グーテンベルグ、印刷事業を開始した。
  • 1455年 旧約・新約聖書を印刷した(「グーテンベルグ聖書)。
  • 1510年~1514年、コペルニクスが「コメントリー」(地動説)を書いた。
  • 1513年、マキャベリが「君主論」を書いた。

宗教改革始まる

  • 1517年 ルターによる宗教改革

大航海時代へ

  • 1543年 ポルトガル人来日、鉄砲伝来

カトリック教会による弾圧

  • 1620年 ピルグリムファーザーズ(清教徒の米国への移住)
  • 1633年 ガリレオ・ガリレイ、ローマ教皇庁により有罪判決(カトリックによる知識人の弾圧)

民主革命への展開

  • 1642年 イギリス清教徒革命
  • 1776年 アメリカ独立
  • 1789年 フランス革命

知識革命の体系

  • 第一次知識革命:人類史上初の百万人都市
  • 第二次知識革命:印刷革命
  • 第三次知識革命:電気通信革命
  • 第四次知識革命:放送革命
  • 第五次知識革命:IT革命

改訂履歴

  • 2010.08.06 年号を追加、イノベーションの分類改編
  • 2010.01.30 初版 テクノロジー・オートメーション・イノベーション