細胞生物学Ⅱの履歴
2010夏学期、金曜1限、奥野先生
内容
細胞運動の仕組み
運動を支える情報伝達系
運動を支える代謝
2010出題分野予想
- 筋肉(筋収縮)
- 鞭毛
- 情報伝達
ネルンスト→ゴールドマン(膜電位):式
筋肉(筋収縮)
- ミオシン、アクチンによる運動
- 滑走フィラメント法:ミオシンをスライドガラスにつけておいて、アクチンとATPをかける。
- 骨格筋
アクチン、ミオシンフィラメント[サルコメア]→筋原繊維→筋繊維→筋肉
- 力の発生
ミオシンのメカノケミカルサイクル:化学反応と力発生のカップリング
→シナプス終板から活動電位が伝わる
→Ca2+放出チャネルを通して筋小胞体からCa2+が放出される=収縮
→収縮後、筋小胞体のCa2+ATPaseによって細胞質内のCa2+が小胞体内へ取り込まれる。
- ミオシンの制御
:Ca2+による制御[off時は筋小胞体内に蓄えられている]
:骨格筋ではアクチン側、平滑筋ではミオシン側を調節
- 骨格筋の収縮調節
TN(トロポニン)にCaが結合すると、TM(トロポミオシン)TN構造が変化、アクチンのミオシン結合部位がむきだし、アクチンとミオシンが結合→収縮
※TN(トロポニン)
:TNI[TMの阻害、ミオシン結合を抑える]
:TNT[IとCの連絡]
:TNC[カルモジュリンと似ている、4つのCa結合部位をもつ]
- 平滑筋の収縮調節
:ミオシンの調節軽鎖のリン酸化で調節する。
:キナーゼ[Ca2+で活性化]でon、ホスファターゼ[別のホスファターゼで制御]でoff
:ゆっくり収縮
:解糖系→呼吸系に比べ、効率は悪いが速い
:呼吸系→
※クレアチン
※死後、ATPの供給がなくなると
→アクチンとミオシンがくっついたままになる。
→Ca2+ATPaseによるCa2+の回収が起こらない:さらにアクチン、ミオシンが結合
→硬直
鞭毛
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2009過去問
1.死後硬直の理由を筋細胞内のレベルで説明せよ。
2.チューブリンの重合・脱重合が関与する細胞運動現象と、モータータンパク質による微小管の能動的滑り運動により運動する例を一つずつ挙げ、説明せよ。
3.神経線維において、以下の問いに答えよ。
4.3量体型Gタンパク質が関与する現象を一つ挙げ、説明せよ。
キーワード
Ⅰ序論
細胞とは
- エネルギー(糖など)
細胞の起源
細胞のサイズを規定するもの
↓以下の三つは互いに関連している。
- 拡散速度
- 情報伝達速度
- 反応速度
→これらのことを考慮すると大きな細胞は形成できないので多細胞化したと考えられる。
具体例
- サイズが2倍になると、重量は8倍になる
- 細胞膜は薄いので、大きすぎると重力のせいで、膜のみでは形態を維持できなくなる。
- シグナル伝達問題:単純拡散は大きいほど伝わりが鈍い。
- エネルギー:単位体積あたりの供給量は1/L。さいぼうが大きいほど供給量は小さい。
運動はなぜ必要か
- 食べ物の確保
- 最適な生息環境の確保
※小さな生物ほど慣性(質量)による力が小さく、熱運動による力が大きくなる。
→大きな生物は筋肉でからだ全体を動かす。
→小さな生物は繊毛や鞭毛で動く。
例:バクテリアの鞭毛による移動速度は20μm/sec
アミノ酸などの拡散速度は45μm/sec
自分でえさをもとめて動いていくよりも、拡散するのを待っていた方がよい。このため、運動器官が発達していない。
多細胞生物の工夫
Ⅱ細胞膜・生体膜
生理的機能
リン脂質の生体膜の透過性
○気体、電荷をもたない小さな親水性分子
×電荷をもたない大きな親水性分子、イオン、電荷をもつ疎水性分子
シグナル伝達からみた生体膜
1:物理的シグナル
光→光受容体(色素、疎水性で膜タンパク質の中にある)→タンパク質内構造変化、酸化還元→細胞内シグナル
電気→タンパク質の構造変化 →膜電位→細胞内シグナル
音・圧力→タンパク質の構造変化 ↑
2:化学的シグナル
ホルモン、成長因子、神経伝達物質
↓
膜貫通タンパク質受容体、細胞内タンパク質受容体、タンパク質構造変化
↓
細胞内シグナル
↑
膜電位
↑
イオン
※シグナルはカスケード反応で伝わることが多い。
Ⅲ細胞運動とその制御
(1)細胞運動
- 細胞骨格
アクチンフィラメント、微小管(小胞輸送)、(中間径フィラメント)
- 重合と脱重合
アクチン:+端は重合しやすい、-端は重合しにくい。
Gアクチンが中だと、トレッドミル:+端での重合と-端での脱重合が促進され、+端へ動いているように見える。
- 滑り運動、その特徴
1:細胞骨格を用いた1次元1方向の運動
2:細胞骨格繊維の組み合わせ方で二次元、三次元の運動
3:原核生物はモーターで動く。
- 原核生物の鞭毛運動
スクリューのように回転。ATPaseに似たモーターで原動力を得る。
シグナル→受容体:ATPによるリン酸化で伝達→鞭毛活性化
flagellinでできている。真核生物の鞭毛はMTなので、チューブリン。
アクチン
- +端は重合しやすい、-端は重合しにくい。
Gアクチンが中だと、トレッドミル:+端での重合と-端での脱重合が促進され、+端へ動いているように見える。
Gアクチンがある間って、Fアクチンという二本のらせん構造を造る。
ミオシン頭部が結合すると、矢じり構造ができる。極性を持つ。
- アクチン結合タンパク質:アクチンの伸張を止める、切断する。
(1)ジストロフィン
(2)フェインブリン:Fアクチンを架橋。Fアクチンが側面結合して束になる。
(3)スペクトリン:裏打ち構造に大切:膜とFアクチンをつなげる。
(4)フィラミン:Fアクチンを網目状にする。
(5)Arp213:7つのサブユニット
アクチン重合核を形成、分岐点となる。フィラメントと比べて規則的な枝分かれをとる。
- アクチン重合を調節するタンパク質
(1)コフィリン:-端からの解離
(2)セベリン:切断、キャップ[+端]重合をストップ→伸びなくなる
(3)ゲルゾリン:↑
(4)Capz:キャップ[+端]
(5)トロポモジュリン:キャップ[-端]脱重合をストップ→どんどん伸びる
(6)Arp213複合体:キャップ[-端]、側面結合と核形成
- アクチンとATP,ADP
ATP結合アクチン:重合しやすい
ADP結合アクチン:脱重合しやすい
※プロフィリン:アクチンにATPが結合するのを助ける。
※チモシンβ4:ATP-Gアクチンの重合を妨げる。
- サルコメア(?)におけるキャップタンパク質
Capz[+端]、トロポモジュリン[-端]が筋収縮中のアクチンの重合、脱重合を防いでいる。
- 仮足形成の制御
細胞外刺激→2通り、2つのシグナル→Arp213複合体によるアクチン重合の促進→糸状仮足、葉状仮足の形成
※ノート参照
18のファミリー「骨格筋はミオシンⅡ、ミオシンⅠなどは単頭」
ミオシンはAAAファミリーの一つ
HCとLDを持つ
LC:必須LCと調節LC[カルモジュリンLC:Ca2+結合の有無]
@平滑筋では、ATP,ADP結合で調節LCによってレバーアームが動く。
④から
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