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病気でこんなに

「ベスは、病気でこんなに小さくなったから、うっかりしゃべっているあいだに、どこかへ消えてしまいそうだね、まあ、前ほどはにかまなくなったようだが。」と、おとうさんは、もうすこしでこの子を失うところだと思い、しっかりとだきしめ、「ベス、どうかいつまでもじょうぶでいてほしいね。」
 みんなだまって、それぞれなにか考えていました。と、おとうさんは、足もとのエミイの髪をなでながら、
「エミイは、食事のとき、いつもとちがって、鳥の足の肉をとったし、またお昼からはお使いをしたし、しんぼうづよく、みんなのお給仕もしたね、おしゃれもしなくなったし、指にはめているきれいな指輪のことも口に出さなかったね。これでおとうさんには、エミイがじぶんのことより、他人のことをよけい考えるようになったことがわかってうれしい。」
 おとうさんの話がすむと、ジョウがベスにむかって尋ねました。
「ベス、あなたなにを考えているの?」
「あたし、今日、天路暦程のなかで、クリスチャンとホープフルが、いろいろくるしい旅をつづけたあげく、年中ゆりの花のさいていてたのしい緑の野辺について、ちょうど今のあたしたちのように、目的地にむかって、また出発する前に、そこでたのしく一休みするところを読みました。」と、ベスはいって、おとうさんのそばをはなれてピアノの前にいきました。
「お歌の時間でしょう。おとうさんのお好きな、巡礼の聞いた羊飼いの少年の歌、あたし作曲しましたの。」
 そういって、ベスはピアノをひき、二度ともう聞けないかと思った美しい声で、ベスにふさわしい古風な讃美歌をうたいました。
へりくだるものにおそれなく

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