遺言状
家でこういうことが起っているあいだ、エミイは、マーチおばさんの家で、まことにつらい日を送っていました。エミイは、まるで島流しにあったようなわが身をふかく悲しみ、わが家でどんなにかわいがられていたかということを、生れてはじめて感じました。
マーチおばさんは、親切でしたが、けっして人をあまやかすようなことをしませんでした。エミイはしつけがいいので、たいそう気にいりました。それで、エミイをかわいがり、幸福にしてやりたいと思いましたが、ざんねんながら、その方法がまちがっていました。
マーチおばさんは、すべて命令ずくめで、きちょうめんで、くどい長いお説教で、エミイを教育しようとしましたが、これがまたエミイをすっかり不幸にし、まるでじぶんはくものあみにかかったはえのようだと思いました。
エミイは、まい朝、茶わんをあらい、スプーンや湯わかしを、ぴかぴかに光るまでみがかなくてはなりませんでした。それから、おそうじ、おばさんはちり一つ見のがさないので、なんとまあおそうじはつらかったでしょう。それから、おおむのポーリーに餌をやり、ちんの毛をくしけずり、足のわるいおばさんの用事を、なん度も召使のところへいいにいったり、階段をのぼったりくだったり、それがやっとすむと、勉強をさせられます。その後の一時間! そのとき運動か遊びを許されるので、どんなにたのしかったでしょう!
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