オープン・イノベーション
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OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて
ハーバード大学のヘンリー・チェスブロウが提唱したイノベーションの理論。反対概念は「クローズド・イノベーション」。
研究開発、製品開発、事業化の全てのプロセスを一つの企業で閉じて行うのではなく、他社・大学の研究成果・知的資産を有効活用しながら自社で製品開発・事業化を行ったり、自社の研究成果・知的資産を他社へ供給すること。
アイデアは世の中に溢れており、企業内部で研究開発を行うのは効率的ではなくなった。
出典:『OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて』
以下、断りのない限り、出典は同書。
パラダイムシフトした理由
「クローズド・イノベーション」から「オープン・イノベーション」へ移行した理由。
- 理由1:優秀な労働者の増加と流動化
- 理由2:ベンチャー・キャピタルの登場
- 理由3:棚上げされたアイデアの流出
- 理由4:外部サプライヤーの増加
ベンチャーキャピタル?
ただし、日本ではアメリカほど理由2は当てはまらない。日本では、リスクを取るベンチャーキャピタルが米国より少ない。
ベンチャー・キャピタルの技術評価プロセスは、大企業が行う評価プロセスに比べ劣っている。(中略)チェスをするには適していないといえる。しかし、ポーカーをするには適している。手札が勝ちそうであれば、短期間に追加投資が決定される。(35)
ソーシャルメディアの影響
一方で、本書が執筆された当時と比べ、インターネット、特にソーシャルメディアの出現により、理由1、理由4が加速化されているように思われる。
魔の川・死の谷・ダーウィンの海
本書では触れられていないが、社会の成熟化、複雑化により、魔の川・死の谷・ダーウィンの海と呼ばれる「事業化の障壁」がより深くなり、一つの企業が全てのプロセスを担うことができなくなったことが原因である。
クローズド・イノベーションの例
ゼロックスのパロアルト研究所
自社で製品化・事業化できずに、技術者の流出を招き、他社により成功した例。
- Ethernet:3COMのルーター
- グラフィカルユーザインターフェイス:アップルのマッキントッシュ
- 画像処理技術:AdobeのPostscript言語
オープン・イノベーション(自社の知的資産を利用)の例
以下の企業は、自社で基礎研究を行わず、他社の知的資産を取り入れることを企業戦略の中核に据えている。
- インテル
- シスコ
- ノキア
- P&G
- アップル
シスコの採ったイノベーション戦略は、世界中のベンチャー企業を調査し、新製品、新技術を開発している企業を探し出し、これらベンチャー企業に投資したり、ときには吸収合併したりするというものであった。
インテルのポリシーは、社内で研究を始める前に、まず社外にある研究活動を調べることである。
オープン・イノベーション(自社の知的資産を供給)の例
伝統的な企業に多い。
- IBM・・・特許収入が19億ドルになる(2001年時点)
- ルーセント・ニュー・ベンチャー・グループ(前身はATTのベル研究所)・・・その後失敗。
ビジネス部門はテクノロジーを長期間放置しておく傾向がある。テクノロジーを棚上げすれば、それをすべて失ってしまうおそれがある。ゆえに、ビジネス部門のいうことは聞かずに、他者に使用させることにより利益を上げることを考えるべきである。
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