クレジットカード王国の最新の日記
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小芳は我知らず

 小芳は我知らず、(ああ、どうしよう。)と云う瞳が、主税の方へ流るるのを、無理に堪えて、酒井を瞻った顔が震えて、
「蔦吉さんはもう落籍ましたそうです。」
 と言わせも果てずに、
「(そうです。)は可怪い。近所に居ながら、知らんやつがあるか、判然謂え、落籍たのか!」
「はい、」と伏目になったトタンに、優しげな睫毛が、(どうかなさいよ。)と、主税の顔へ目配せする。
 酒井は、主税を見向きもしないで、悠々とした調子になり、
「そりゃ可い事をした、泥水稼業を留めたのは芽出度い。で、どこに居る、当時は………よ?」
「私はよく存じませんので……あの、どこか深川に居るんですって。」
「深川? 深川と云う人に落籍されたのか、川向うの深川かい。」
「…………。」
「どうだよ、おい、知らない奴があるか。お前、仲が好くって、姉妹のようだと云ったじゃないか。姉妹分が落籍たのに、その行先が分らない、べら棒があるもんかい。
 姉さんとか、小芳さんとか云って、先方でも落籍祝いに、赤飯ぐらい配ったろう、お前食ったろう、そいつを。
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