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主人が用向きを訊いてみると

 主人が用向きを訊いてみると格別のことも無い様子、話の具合では、どうやら茶屋の遊びという事を清僧らしく簡単に思い做して、何も知らずに試みに来た様子。主人四郎兵衛は一時は商売並みにこの坊さんたちを遊興させて銭儲けをしようかとも思いましたが、二人の様子を見るのに余りに俗離れがしていて純情無垢のこどもに還っているのでこれに色町の慣わしのものを勧めるというのはどうにも深刻過ぎるように思え、また、二人の様子の、こどもの無邪気さに見えていながら、吹抜けてからっとした態度には、実に何もかも知り尽していながらわざと愚を装っているのではあるまいかと疑われるような奥底の知れない薄気味悪いものを感じまして、何も今更、自分等が職業にしているような普通人に魅力に感ぜられるものを、これ等の達人に与えて見せたところで、何だ、これしきのものかと一笑に附されるばかりでなく、あべこべに浅ましいこちらの腹の底まで読み取られそうな気がして、どう待遇したものか、四郎兵衛は思案に暮れていました。http://mindia.jp/book/oukoku/entry/7095

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