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ある者は自分の影を踏まうとして

 ある者は自分の影を踏まうとして駈けまはるが、大抵は他人の影を踏まうとして追ひまはすのである。相手は踏まれまいとして逃げまはりながら、隙をみて巧みに敵の影を踏まうとする。また横合から飛び出して行つて、どちらかの影を踏まうとするのもある。かうして三人五人、多いときには十人以上も入りみだれて、地に落つる各自の影を追ふのである。勿論、すべつて転ぶのもある。下駄や草履の鼻緒を踏み切るのもある。この遊びはいつの頃から始まつたのか知らないが、兎にかくに江戸時代を経て、明治の初年、わたし達の子どもの頃まで行はれて、日清戦争の頃にはもう廃つてしまつたらしい。
http://mindia.jp/book/oukoku/entry/7141

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