クレジットカード王国の最新の日記
「だいぶ降って来たな」
「だいぶ降って来たな」
「おばさんは帰りに困るでしょう」
「なに、人力車を迎いにやったからいい」
こう云っておじさんは又黙って茶を喫んでいたが、やがて少しまじめになった。
「おい、いつかお前が訊いたおふみの話を今夜聞かしてやろうか。化け物の話はこういう晩がいいもんだ。しかしお前は臆病だからなあ」
実際わたしは臆病であった。それでも怖い物見たさ聞きたさに、いつも小さいからだを固くして一生懸命に怪談を聞くのが好きであった。殊に年来の疑問になっているおふみの一件を測らずもおじさんの方から切り出したので、わたしは思わず眼をかがやかした。明るいランプの下ならどんな怪談でも怖くないというふうに、わざと肩をそびやかしておじさんの顔をきっとみあげると、しいて勇気をよそおうような私の子供らしい態度が、おじさんの眼にはおかしく見えたらしい。彼はしばらく黙ってにやにや笑っていた。
「そんなら話して聞かせるが、怖くって家へ帰られなくなったから、今夜は泊めてくれなんて云うなよ」サークルでTシャツを作った思い出 - クレジットカード王国 - mindia(マインディア)
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