群狼の舞(満州国演義 3)

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群狼の舞 (満州国演義 3)

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船戸与一

【内容情報】(「BOOK」データベースより)


国際世論を押し切り、新京を国都とする満州国が建国された。関東軍に反目しながらも国家建設にのめりこんでゆく外務官僚の太郎、腹心の部下だった少年と敵対することとなった馬賊の次郎、「憲兵隊の形」と称されながら殺した人間たちの亡霊に悩まされ続ける三郎、さらなる罪を背負って満州の荒野を流浪する四郎…ついに敷島四兄弟は満州の地に集うが、満州をめぐる人々の欲望はますます膨れ上がり、少しずつ常軌を逸していく。四つの視点で描かれる前代未聞の満州全史、「熱河侵攻」を描く第三巻。

感想2008/08


満州建国前後の異様な「空気」そしてその「空気」によって人々が動かされ、歴史が作り上げられて行く異様さ…それを敷島4兄弟の変節を通じて見事に描かれています。

外務官僚として関東軍を苦々しく思っていたが、次第に満州建国に傾いていく太郎
馬賊として「風に舞う柳絮のように生きる」ことを望みながら「金のため」関東軍の謀略に手を貸す次郎
憲兵隊中佐として頭角を現しながらも「謀略に狎れていく」三郎
主体性を持てず、流されるままに特務に手駒として使われる四郎

そのそれぞれ、そして世論、軍略までもが「時代の空気」に流されていく…。

「新事実の掘り起こしはしない」「今手に入る資料だけで描いている」とのことだが、壮大にして、その時代の「空気」を描いた満州叙事詩です…次巻は4巻「炎の回廊」です。

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