残虐記の履歴
内容(「BOOK」データベースより)
自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。黒く汚れた男の爪、饐えた臭い、含んだ水の鉄錆の味。性と暴力の気配が満ちる密室で、少女が夜毎に育てた毒の夢と男の欲望とが交錯する。誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長編。柴田錬三郎賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
桐野 夏生
1951(昭和26)年、金沢市生れ。成蹊大学卒。’93(平成5)年、『顔に降りかかる雨』で、江戸川乱歩賞を受賞する。’97年に発表した『OUT』は社会現象を巻き起こし、同年、日本推理作家協会賞を受賞。’99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞を受賞した。また、英語版『OUT』は、’04年にアメリカで権威のあるエドガー賞に、日本人で初めてノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
読書:2009年18冊目
読書会のお題。
少女誘拐監禁事件の被害者が成長し、結婚していたが失踪した…状況から始まる小説。
Amazonのレビューの中には「どんどん謎が深まっていく」と書いてあるものもあるが…正直、後出しで「実はね」と重ねていくスタイルなので、「あー謎だと思って欲しいんだろうなぁ作者は。」と穿った見方をしてしまって、もう一つ楽しめなかった。
アシモフだったと思うが、SFミステリを書くときには読者に最初に条件を提示しておかないとダメだよ、解決編で読者が見たことも聞いたこともない「実はこのQ光線でね」と出しちゃったら白けるよ、と書いていたが、本作ではどうもその「実は前には書いていない事実が!」が「謎が謎を呼んでいる」ので「はいはい、実はQ光線の次は実はP光線ですか?」と白けてしまったのだ。
そんなことをしなくても十二分に面白く出来る題材だと思うんだが…。