有徴

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有徴とは、初期値(デフォルト)とは異なることを強調するためにあえて「特徴」を示すことで、特に女性を表すことが多いのに対し、男性を表すことは稀である。男性は「男性的」と言われることがレアなので、あえて「男性的」と言われるとぎょっとするし、反論しがち。
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有徴と無徴というのは難しい言葉だが、非常にざっくり説明すると「しるし(徴)」の有無のことで、しるしがあるかないかでデフォルトか例外かが区別される、という話だ。たとえば「作家」に「女流」というしるしがついた「女流作家」という言葉はあるが、「男流作家」はない。この「作家」が無徴、「女流作家」が有徴だ。これには「女性」の作家は例外的だ、という発想がひそんでいる。

女性は「女医」とか「女流作家」のような自分たちを有徴化する言葉に慣れているのが、おそらく男性は例外化されることに慣れていないのではないかと考えられる。

こういう言葉が男性をぎょっとさせるのは、接頭辞“man-”が「男性の」、もっと言えば「男子文化の」という意味で使われることが、今まで無徴だった男性を有徴にしてしまうからだ。

有徴語の例

接頭語に「女」「女性」「女流」をつけた有徴語

これらの言葉には対義語となる「男」「男性」「男流」をつけた有徴語は存在しない。つまり、男性が主流であることを暗黙の了解としている。

  • 女医
  • 女流作家
  • 女流棋士
  • 魔女
  • 女子アナ

「女子アナ」と「男子アナ」をぐぐると、ヒット件数は34200千件 vs. 175千件で100倍以上の差で有意と言える。

接頭語に「男」「男性」「男流」「マン」をつけた有徴語

  • マンスプレイニング
  • マンスプレッド(公共交通機関で足を広げる)
  • 男性役員(PTAの場は女性がほとんどなので父親が役員を務めると男性役員と言われることがあった)

有徴語を廃した言葉

従来、女性の仕事と思われていたが、語彙に「母」や「婦」など、女性を表す接尾語がついていたため、そのままでは男性向けに使うことができないため、使われなくなった言葉。

  • スチュワーデス→キャビンアテンダント
  • 看護婦→看護士
  • 保母さん→保育士

この考え方から言えば、職業に「女」「女性」「女流」をつけるべきではない。

ヨーロッパ言語

しかし、英語を除く全てのヨーロッパ言語※は全ての名詞は男性・女性・中性を区別し、人間を表す場合は語尾が変化する。
※ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ロシア語では確認済

履歴

  • 2021.05.02 現代新書のサイトで初めて知った。

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