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ことしの秋の寒さは

ことしの秋の寒さは例年よりも身にしみて、風邪引きが多いといふので、おせきは仕立ておろしの綿入の両袖をかき合せながら、北に向つて足早に辿つてくると、宇田川町の大通りに五六人の男の児が駈けまはつて遊んでゐた。影や道陸神の唄の声もきこえた。
 そこを通りぬけて行きかゝると、その子供の群は一度にばら/\と駈けよつて来て、地に映つてゐるおせきの黒い影を踏まうとした。はつと思つて避けようとしたが、もう間にあはない。いたづらの子供たちは前後左右から追取りまいて来て、逃げまはる娘の影を思ふがまゝに踏んだ。かれらは十三夜のぼた餅を歌ひはやしながらどつと笑つて立去つた。
http://mindia.jp/book/oukoku/entry/7141

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