できる論の履歴

趣旨

組織で働く上で、よく飛び出す「それはできない」という言葉を「こうすればできる」に変えるためにはどうしたらよいかについての考察である。

議論の背景

よく「これはどうだろう」という話を持ちかけた場合に、「そんなことできるか」という反応がある。明らかに出来ないこと、例えば「牛の筋力で羽をばたつかせる飛行機を作る」などは論外だが、往々にして「どうだろう」という話の裏には様々な理由があり、当然ながら実現度もなくはない。問題はそうした理由を確認せずに「出来ない」と決定してしまうことである。この弊害については周知のとおりだが、問題は何故「できない」と断定するかである。

できない」と思考を遮断する背景

断定する背景にはいくつかあるが、根源にある理由は、何がしかの理由で語り手とのコミュニケーションを切り上げたいためである。
例えばその議論は過去に自分が行ったが上司から却下された「苦い思い出」がある。議論の軸があいまい、または議論の思考が理解できないケースもあるためかったるいのかもしれない。もしかしたら嫌っているからかもしれない。いずれのケースにも共通するのは、自らの思考を遮断することで、自らの思考リソース、感情処理リソースの節約をしようということである。極端な話、相手に対して「あなたは私の邪魔をするな」といっているのと同じなのだ。

できない」により失われるもの

ここで問題なのは、自分が何を目的として、役割として、例えば会社に勤めているか、その団体に属しているかである。部下に対して上司が行ったのであれば、部下はその上司に対しての提案する心づもりポイントが1つ減るだろう。上司部下に言われたのであれば、部下上司にとっての心強い見方ではなくなる。同僚に言われたのであれば、明日からの挨拶のトーンが下がるだろう。言葉を発した側から見たら一時的なものであっても、相手にとっては恒久的なものになる危険を秘めているのである。

*「できない」を「できる」に変えるには