嗤う伊右衛門
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内容(「BOOK」データベースより)
幽晦との境界が、破れている。内部の薄明が昏黒に洩れている。ならばそこから夜が染みて来る…。生まれてこのかた笑ったこともない生真面目な浪人、伊右衛門。疱瘡を病み顔崩れても凛として正しさを失わない女、岩―「四谷怪談」は今、極限の愛の物語へと昇華する!第二十五回泉鏡花文学賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
京極 夏彦
1963年、北海道小樽市生まれ。94年『姑獲鳥の夏』で作家デビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
読書:2009年1冊目
「お岩さん」の心情が切ない…が「顔が崩れても凛としている」お岩さんも「生真面目で笑ったことがない」伊右衛門も、それをどうしようもないという点で「世の中全てを怨んでいる」敵役と同じなんですよね。「己のため」と言われない点で、余計質が悪いかもしれない…お岩さんの父親と同じく、その身が滅ぶまでそれを認められない「かたくなさ」こそが、この物語をより悲劇としているのですね。
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