日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか
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日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書 く 1-2)
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久坂部 羊
感想2008/07
まさにわが意を得たり。
「言葉にならないうねうねした思いを呻吟しつつ、不器用に紡ぎ出すのがブログ」とすれば「多くの人が心のうちに思いを持ちながら言葉に出来なかったことを、明確な言葉で提示するのが文筆家」なのでしょうか。
久坂部羊先生は文筆家でありますね。
アンチエイジングが気に入らない医療人というのは私を含めて多くいると思います。それは、エセ医療、科学をもって金儲けのためだけに患者を煽る嫌らしさ、それだけなら壷売りと同じなのですが、そしてしかも、それが化粧品会社などの営利企業などだけであればまだしも、医者歯医者などの医療人が率先して行って、しかもアンチエイジング学会などという学会「じみた」ものまで作って騙そうとしている…同業者に対する生理的嫌悪感です。
「ああはなりたくない」と。
それが
「言葉にならないうねうねした思いを呻吟しつつ、不器用に紡ぎ出すのがブログ」での文章でしかなかったものが「多くの人が心のうちに思いを持ちながら言葉に出来なかったことを、明確な言葉で提示するのが文筆家」によって「アンチエイジングといわれるとアンチサンライジングという皮肉を言いたくなります。太陽を昇らせないがごとく無理でしょう。」「スーパー老人を喧伝しすぎ、最低のラインと最高のラインを提示してその間のどこに着地させるかを考えるのなら良いが、最高のラインしか見せないので幻想を見せている。」「ピンピンコロリは良いけど、コロリはどうすんの?」と明確な言葉で提示されてまさに「わが意を得たり」の思いです。
文章も洒脱で読みやすく、重いテーマながらスっと読めます。
特に心に響いたのは「老人は昔は尊敬されていた」「それは老人なりの知恵や落ち着き、価値観があったからである」しかるにアンチエイジングなどというと「老いることは悪いこと」「しかも老人は若者の負担になる」これでは尊敬されるべくもない…という点でしょうか。
アンチエイジングというのは「若いほどいい」ということを言っているのですが「年上はそれゆえに若輩よりも無価値である」と言っているんですよね。
そんなことはない、と私は尊敬する年配の方々を見て思います。彼らの「(年の割りの)若さ」を若輩たる私は尊敬しているわけではない。「人間」を尊敬しているし、そこには「年月」も含めているのだ、と。
「若さ」は老いを感じた者の「誇るべき点」ではない、それでは若者そのものにかなうべきものはない、そうでない何かがあるはず・・・老いて、死ぬときまで。
老人医療の現場からの提言としても、すべての人にお勧め。
「日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか」について友人に書いてもらう。
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