虹の谷の五月
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虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087475727/tanelorn...
船戸 与一
出版社/著者からの内容紹介
フィリピンのセブ島に祖父と暮らす13歳のトシオ。丸い虹がかかる谷をめぐり、彼はゲリラの抗争に巻き込まれていく。成長を遂げていく少年に託した冒険巨編、第123回直木賞受賞作。(解説・小田光雄)
内容(「BOOK」データベースより)
トシオ・マナハン、13歳。フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。奥地の「虹の谷」には元新人民軍のゲリラ、ホセ・マンガハスがひとり住みついて闘い続けている。そこへ行く道はトシオしか知らない。日本から戻ってきたクイーンを谷に案内したことから、トシオはゲリラたちの内紛に巻きこまれていく。直木賞受賞の壮大な少年の成長物語。
虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087475735/tanelorn...
出版社/著者からの内容紹介
去年も一昨年も虹の谷で銃声が響いた。だからおれはもう、だれも案内をしない。そんなある日、ドクトル・ナカノが誘拐された! 少年の慟哭とあふれる想いを描く、誇りと希望の一大叙事詩。(解説・小田光雄)
内容(「BOOK」データベースより)
トシオ・マナハン、14歳。セブ島で祖父とふたりで闘鶏用の軍鶏を育てている。ゲリラのホセ・マンガハスが住む「虹の谷」への道を知っていたことから暗殺、誘拐の硝煙の宴に巻きこまれていく。少年の夢。怒りと誇り。愛する者との別れ。慟哭の叫びを胸奥に沈め、少年は男へと脱皮して行く。第三世界の片隅から世界を睥睨する冒険小説、感動の巨編。直木賞受賞作。
感想2008/07
素晴らしい。
主人公はジャピーノ(日比混血児)トシオ、13歳から15歳の物語。
船戸与一は長編一本をかけて、少年が「男」になり、「なんのために生きるのか」を「感じ取る」までを、極貧の現地の「現実」を背景に、汗臭く汗臭く綴ってゆきます。
この「現地臭」「汗臭さ」そして悲劇性が船戸与一…なのですが、トシオの成長が眩しく、読後感は爽やかです。
「船与与一が直木賞?は?」と思っていましたが、賞を取ることによって一人でも多くの人がこの本を手にすることがありますように!と強く祈ります。
中高生も漫画に飽きたらラノベじゃなくて船戸与一を読めば良いと思う。「状況が絵のように見える」だけじゃなくて、それに臭いもついてくるような気がするから。
蛇足ですが
木城ゆきと「銃夢」ノヴァ教授の台詞を引用しておきます。
人は場所・時代・環境を選んで生まれることはできない…
ゆえに生まれた瞬間にそれぞれの人間の生きる条件は異なっている
これが宿命です
そして世界が残酷なのは
当たり前のことです
生の始まりは化学反応にすぎず
人間存在はただの記憶情報の影にすぎず
魂は存在せず精神は神経細胞の火花にすぎず
神のいない無慈悲な世界でたった一人で
生きねばならぬとしても…なお…
なお 我は意志の名の元に命じる
『生きよ』と!!
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