廃用身
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廃用身 (幻冬舎文庫)
久坂部 羊
内容(「BOOK」データベースより)
廃用身とは、脳梗塞などの麻痺で動かず回復しない手足をいう。神戸で老人医療にあたる医師漆原は、心身の不自由な患者の画期的療法を思いつく。それは廃用身の切断だった。患者の同意の下、次々に実践する漆原を、やがてマスコミがかぎつけ悪魔の医師として告発していく―。『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。
ドキュメント風の「風刺」小説ですな、これは。表紙をめくると表紙、奥付のあとに奥付とまことに徹底しております。
介護問題、医療問題についての真骨頂。
読みながら自分の身を鑑みてリアルに3度ほど吐いてしまいました。
トイレで吐きつつ、左手に「廃用身」を握り締めている…そうまでして、読み進めてしまいました。
段々と主人公の歪さが現実の制度の、現状の、そして、「自分の」歪さ、主義主張と重なって行く不気味さに肺腑が耐えられませんでした。
「リアル風フィクション」の風をとっていることが不気味さを倍化させます。むしろリアルレポートであったほうがどれだけよかったか・・・。
これを読んで嘔吐しない制度、世代、そして自分を望むと共に、これを「読まない」「読んでも何と思わない」ヒトがいるであろうことに恐怖します。
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