創発
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創発とは?
英:Emergence
もともとは生物学用語であるが、物理化学者であったマイケル・ポランニーが、社会科学用語に転用した。
部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れること
出典:Wikipedia
ここから、創発は、非予定調和と言うこともできる。
原出典のマイケル・ポランニーの言葉を見てみる。
上位レベルは、下位レベルの諸要素をそれ自体として統括している規則に依拠して、機能する。しかし、こうした上位レベルの機能は、下位レベルの規則で説明することはできない。
個々の諸要素を統括する規則によって、より高位層の組織原理を表すことはできない。
出典:マイケル・ポランニー著 「暗黙知の次元」
粘菌の離散と集合,働きアリの社会行動,都市部に起こる階層別のゾーニング。いずれも明確なルールやコマンドが中央集権的に示されているわけではないが,そこには一定のパターンがある。筆者はこれを「コントロールされたランダムさ」と表現した。本書は,こうした創発が未来へのカギであると示してくれるが,その具体像は見せてくれない。まだ直接つながる道が見えないからだ。つまり,アリがコロニーを形成するメカニズムに現代の技術はまだかなわないのだ。何と夢のある話ではないか。
出典:スティーブン・ジョンソン著
「創発ー蟻・脳・年・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク」の商品説明より
また、古代よりアリストテレスが以下のように述べていた。
全体とは部分の総和以上の何かである
出典:山口裕幸 著「チームワークの心理学」
創発の例
蟻の隊列
アリのコロニーは非常にうまく機能している。たった一匹のアリがコロニーに君臨することはない。命令するアリもいない。一匹一匹のアリは個体としてはほとんど何も知らない。それなのにアリは食糧を見つけ、仕事をすべてこなし、再生産する。
出典:ジェームズ・スロウィッキー著 「『みんなの意見』は案外正しい」
原出典:スティーブン・ジョンソン著 「創発ー蟻・脳・年・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク」
煉瓦焼きの技術の例
(「暗黙知の次元」で紹介されている例を要約)
- 下位:原料~煉瓦焼き職人~建築家~都市設計家:上位
煉瓦焼き職人は原料から煉瓦を作ることができる(下位レベル)。建築物(中位レベル)は建築家によって煉瓦から作られる。煉瓦職人は煉瓦の特性を知っているからと言って建築物を建造することはできない。しかし建築物には煉瓦が必要である。
都市計画(上位レベル)は都市設計家によって行われる。建築家は建造物の特性を知っているからと言って都市計画をできるわけではない。ましてや、煉瓦職人が都市計画を立てられるわけでもない。しかし都市計画には、建築物も煉瓦も必要である。
その他の例
- セルオートマトン
- 雪の結晶
- 脳内のシナプス
- 生態系
- 白蟻塚
- 人間社会
- 都市の発達
- 星雲・星団の発達
チームワークも創発
チームで新しい商品の販売促進策を議論しているうちに、もともとメンバー個々の頭の中にはなかったアイディアが生み出されることがあります。この新しいアイディアは、それがもともと存在しなかったここのメンバーの思考へと還元することはできません。議論する過程で創発された特性なのです。
出典:山口裕幸 著「チームワークの心理学」
関連ワード
- 複雑系
- 複雑ネットワーク
- ナレッジマネジメント
- 暗黙知
- 集合知
- 自己組織化
- 還元主義(対義語)
参考文献
暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)
編集履歴
- 2010.12.19 アリストテレス、「チームワークも創発」を追加
- 2010.01.17 「創発の例」に分類。
- 2010.01.03 初稿 「暗黙知の次元」、蟻の隊列、煉瓦焼きの技術
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