ほんの数十年前まで人々は会社というものは一生涯仕事を与えてくれるものと思っていた
Only a few decades ago , people took it for granted that a company would provide them with a job for life.
「ほんの数十年まで」は decade を使って、only a few decades ago とする。
「まで」にこだわるなら、until を使うことになり、次のようになる。
Until just a few decades ago, people had taken it for granted
that …
時制も過去完了にしなければならず、非常にくどくなる。「与えてくれる」は provide A with B の形を使うとよい。「一生涯の仕事」は「終身雇用」と考えて lifetime employment としてもよいが、解答では a job for life とした。
問題は「思っていた」だが、「当然と思っていた」に近いから、強い
言い方にしたほうがよい。それにぴったりなのが、take if for granted that … の構文である。it は形式目的語で that 以下の節を受けている。granted は「当然である」という形容詞。for は「として」ぐらいの意味。
なお、that 節の動詞には would を忘れないこと。時制の一致で
ある。
■ 編集後記
派遣社員が契約期間満了で首を切られても法的には何の問題もない。しかし、その派遣社員が3年、4年、5年と継続的に同じ会社で働いてきた場合は、ずっと雇ってくれるだろうという暗黙の期待感が生まれる。こういうのを学者は心理契約(psychological contract)と呼ぶ。しかし、これには法的拘束力はないから、首をきられても文句は言えない。しかし、首をきった企業は大きな後遺症に悩むことになるだろう。なぜか?それはそれまでの制度を支えている何かが崩れてしまったからだ。私は一部の例外を除き、マスコミによく登場する経済学者やエコノミストをまったく信じていないが、ながらくスタンフォード大学の教授をつとめていた青木昌
彦氏は尊敬している。彼の著書に『比較制度分析に向けて』というのがあるが、このタイトルからもわかるように氏は制度論を研究している人だ。その彼が、制度というものは「法とか、政治機構の形式というよりは、そうしたものが作り出す、人々が共通に抱いている期待や信念にある」と語っている。要するに、制度というものは人々の心が支えている。その心が離れてしまえば、終身雇用制も何もかもが崩れ、企業がいくら社員のモチベーションを高めようとしても無駄ということだ。人間の心を馬鹿にしてはいけない。
コメントはまだありません