低音と高音の間をめまぐるしく行き来する
それは次第に祈りというより、この町になにか不思議な呪文をかけているように聞こえてくる。
黒い旗の動きが更に大きく広がり、高い波のような揺れを抱えながら走る。そのはためきが、手すりも何もない空中のステージから、今にもこぼれ落ちそうになるまで膨らむ。
「あ、旗が落ちる!」
悲鳴に近い声があがる。
回転するサーチライトの光の柱の方向によって、さっきから旗は見えたり見えなくなったりを繰り返している。旗を支える男たちの動きが更に急になったように、僕には見える。そして一瞬の光の中で、その作りだすシルエットの真ん中に、僕はジョジョの姿を見る。さっき、「あいつ」の影をそこに感じたようなことではなく、そこには確かにジョジョの横顔が見える、ような気がする。……まさか。
その時、旗が空中に飛ぶ。
「飛んだ!」
「旗が飛びだした!」
何か他の力によって弾かれたようにではなく、旗が自分の意志で空中高く跳びだしたように、僕には見える。そして、夜空に向かって舞い上がっていく旗にしがみついているジョジョの姿を、僕は今度こそはっきりと確認する。
音楽がまた変わる。単調な、呪文のような歌が一転し、すべての楽器がそれぞれのフル・ボリュームで一斉にユニゾンを鳴らし始める。圧倒的な音量が貯水池公園の木々をふるわせ、これが最後だという勢いで観客に襲いかかってくる。上空からサイレンの音がぐんぐん近づき、地上に炸裂した巨大な爆発音があたりを覆う。本当に爆弾が落ちたのか? それと同時に数箇所から大型の発煙筒がたかれる。
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