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祝FIFA16強 侍は青き狼となって戦った

カメルーン戦、オランダ戦に続き、デンマーク戦もキックオフから観戦した。開始早々、デンマークは「ダニッシュ・ダイナマイト」の超攻撃的なサッカーを仕掛けてきたが、日本ブルーはバイキングの末裔で長身の選手の機先を制する堅固なディファンスをしき、監督も4-2-3-1から4-3-3にシステムを変え、自分より大きな相手達と戦う青き狼のように、仲間と連携しながら次第に守備を固めてきた。そして、バイキングの末裔達を疲れさせ、あせらせ、いらだたせることに成功し、相手のファウルからフリーキックを得た。これを本田選手、遠藤選手が個人の経験と技と運を結集したスーパー・シュートで1点、そして2点と先制した。

後半35分に今度は日本がペナルティー・エリア内でファウル取られ、PKでGKの川嶋が防いだものの、こぼれ球を押し込まれ2-1と1点返されてしまった。しかし、岡田監督の言う「基本的に、よいボールを蹴らせない、しっかり競る、こぼれ球を拾う。そしてファウルをしない。」を基本に、敵チームと選手を研究した上で、各々の選手がいつ何をすべきか、ケーススタディーをして徹底的にセットプレーを練習し、実践では互いにコミュニケーションで連携しながら臨機応変に自分達の判断で変え、監督にフィードバックする、・・・組織的なサッカーが90分間途切れることはなかった。そして、これが後半42分の本田選手のパスをもらった岡崎選手の3-1となるシュートにつながった。

こうした、この日本の守りの堅固さと相手のあせりを引き出した上でのカウンター攻撃を評して、ツイッターには「イタリアカテナチオが崩壊し、日本オカナチオが鍵をかけたこの日。」「岡田監督守備戦術オカナチオ日本人の特性にぴったりあってる。」「イタリアの魂は岡田監督が引き継ぎました。カテナチオからオカナチオへ。」といった書き込みが見られた。

カテナチオ、カテナッチョ(Catenaccio)とは、1950~60年代にイタリアで流行したサッカーの戦術で、イタリア語で「鍵をかける」の意。ほとんどの選手が守備を固め、前線の数人のカウンター攻撃で点を取るもの。他国からは、戦いの内容より結果重視のイタリア人らしい戦術と言われるが、セリエAなどプロ・サッカーの試合では姿を消した、もしくは一般的な戦術として昇華されたと言われている。しかし、FIFAワールドカップのような一点勝負、一発勝負の戦いでは見られ、今回の日本の堅固な守備も、ワールドアップで世界と伍する定石の一つと考えられるが、初戦のカメルーン戦で、攻撃に対する守備重視が目立ち「最もつまらない試合」と評されたことから、内外にこうした印象を与えたのだろう。

「攻撃は最大の防御」と言われるが、これまでの日本の素晴らしい戦いを見ると、いい意味で「防御が最大の攻撃」となっている。岡田監督も「選手は臆することなく、冷静かつ激しく戦ってくれた。」「個人でなく組織でやる。」「サッカーチームスポーツであることを証明したい。」と語った。ジャパンの選手は、スタジアム、ベンチ、サポーター日本で応援する国民が一体となって、戦う我らが日本選手団(our team)の士気と幸運(デンマーク紙は"Kamimaze"と呼んだ)を支えることに成功した。これは、カテナチオといったせこいイメージとは真逆の青き狼ローマを建国したロムルス、レムスは狼に育てられたと言われている)と譬え、称えるべきと思う。

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